アニメーションが終わったら、本文を読みはじめてほしい。
これは芦ノ湖が万字が池と呼ばれていた頃の話である。九頭竜はアニメーションのようないきさつで怒り狂っていた。しばらく姿を見せなかった九頭竜だが、それは嵐の前の静けさだったのだ。
「竜神さまのたたりが恐ろしい」
「このまま何事もないといいがのぉ」
村人は不安な日々を送っていたが、そんなとき突然、疫病が村に蔓延した。コロリとかいう恐ろしい病だった。そして、やっと疫病が治まったかと思うと、今度は山火事が起きたり、湖水が溢れて洪水が起きたりした。
「このままでは村が全滅してしまう」
「竜神さまが怒ったのじゃ、竜神さまの心を鎮めねばならん」
箱根村では毎夜、寄り合いが開かれた。
「むごいことじゃが、毎年ひとりずつ娘を竜神さまに捧げることにしたらどうじゃろう。そうすれば怒りが鎮まるかもしれん」
「いけにえか…。やむを得んな」
その後、毎年、白羽の矢の立った家の娘が湖に沈められ、竜神の怒りを鎮めることになったのだが…。あるとき、この話が箱根山中で修業をしていた万巻上人(まんがんしょうにん)の耳に入った。
「なに? 竜神にいけにえを差し出すだと?」
上人は山を下りて村へ飛んで行った。
「かわいい娘を…。さぞ辛かったであろう。かくなる上は、この万巻上人、み仏の力によって竜神を退治してくれようぞ。皆の衆、湖に向かって石段を作ってくだされ!」
さて、それからどうした?