TVショッピング

ヒット商品を生み出す手法

2002年8月8日

若いワインを美味しく飲む方法として「デキャンタに移す」というのがある。ワインを少し酸化させると、エグ味が減ってマイルドな味になるのだ。このあいだ実際にやってみたが、確かに効果があった。渋いワインが驚くほどまろやかになったよ。

ところで、今アタシは、深夜のTVショッピング(マーメイド)を見ている。深夜の仕事は音がないと寂しいのだ。いつもテレビをラジオがわりにしているが、気づいてみるとテレビショッピングになっているんだよね。

今回はデキャンティングを一瞬で済ませてしまうという「魔法のワイン用ボトルキャップ」が出てきた。その名も“デキャンティング・ポアラー”。これをワインの注ぎ口にセットすると・・・アーラ不思議!

ソムリエは「マイルドになりましたね」と言うし、チーズ&ワイン・インストラクターと称する女性は「デキャンティングを30分から1時間行ったワインと同レベルになりました」・・・なんて言うのである。

デンマーク生まれの人気商品!デキャンティング ポアラー

デンマーク生まれの人気商品!
デキャンティング・ポアラー

ヤラセかもしれないが、一応こういうものがあることをお知らせしておこう。(TVショッピングの値段は4,800円とかなり高目。シロウトにはオススメできない)

しかし、この番組に出てくる商品のウソ臭いこと、ウソ臭いこと。ホントだとしても、値段は原価の10倍以上だろう。昔は薬九層倍なんてことを言ったが、今はテレビショッピング九層倍かもしれない。もし、3年後にリサイクルショップに並んでいるとしたら、そのときの値段は、せいぜい480円というところだろう。

でも、TVショッピングをバカにしてはいけない。この不況下でも売り上げが年間二ケタ成長しているんだからね。どうやらTVショッピングの伸びは、テレビの多チャンネル化と関係があるらしい。大量にできた空き時間を埋めるには持ってこいの番組なのだ。

要するにこういうことさ。長い不況のせいで財布のヒモは非常に固くなっている。だから、ジワジワ攻めていかないとガードの堅いサイフはこじ開けられない。一目見ただけで買いたくなる商品なんて、現代には存在しないんだ。

でも、普段節約しているから、少しぐらい(1万円〜2万円ぐらい)の金を出す余裕は、どこの家庭にもあるんだな。そこで、まずはシロウトさんの前で実際に商品を使って見せる。たとえばこんな風に・・・

「ほーら、こんなにカンタン! シンディー、君もやってみて!」

「ウソでしょー! こんなにカンタンに換気扇の汚れが落ちるなんて!」

オオー!(ちょっと控え目な歓声)

ここで、さらにトンデモナイ汚れを作って見せる。絨毯の上にトマトケチャップやら、ジャムやら、ソースなどを撒き散らして・・・これをグチャグチャに混ぜてしまう。

「どうですか、皆さん。こんなにヒドイ汚れです!」

「普通なら諦めてしまいますよね」(みのもんた風に念を押す)

ここでウンウンと頷くお客さんの顔へズームイン

「それでは、ご覧ください」(人差し指を立てて注目を促す)

「まず○×△を汚れの上にスプレーします」(まるでマジシャンのような手つき)

「次に水を少々」(さらっと汚れの上に輪を描くように)

「そしてブラシで汚れを浮き上がらせます」(ゴシゴシゴシゴシ)

「あとは乾いたタオルで拭き取るだけ!」(サササッ!)

「どうですか?!」

オオー!(今度はホントに驚いた声)

しかし、ここで終わらないのがTVショッピング。さらに追い討ちをかける。

「さらに、こんなものまでキレイにします!」

ジャジャーン(カーテンが開いて、小汚い車が登場)

ここで客席からおじいさんをひとり連れてくる。

「お名前は?」

「ボブじゃよ」(おじいさん風の吹き替え)

「ボブ、ちょっとこの車を磨いてもらえますか?」(シュシュッと○×△をスプレー)

「な・なんじゃこれは! 信じられん!」

オオー!(目を丸くするおばあさんのドアップ)

すでにおばあさんは買う気になっている。

『これさえあれば、役に立たないおじいさんに少しは家事を手伝ってもらえるだろう』と思っているのだ。

すかさず、ここまでの復習。

「もうおわかりですね。あなたは○×△をスプレーするだけ!」

「こんな汚れも、こーんな汚れもさらにポンコツ寸前の車まで

「ほーら、この通り!」

パチパチパチパチ(歓声が拍手に変わる)

もう、みんな買いたくて買いたくてウズウズしている状態。お客さんの目は麻原に洗脳されたオウム信者のようだ。こうなるともう、電パチ・ヘッドギアだろうが、麻原が入った風呂の残り湯だろうが、何でも買いたい人に成り下がってしまう。

麻原しょうこう

すると突然!

「気になるお値段は?」

「9,800円、9,800円」(必ず2回連呼)

「しかも、今なら■◎▲が1本と、ブラシがついてこのお値段!」(■◎▲はちょっと人気の落ちてきた商品)

0330-○×○-○×○
深夜ですので、くれぐれも番号を
お間違えにならないようお願いします。

実はこの、「深夜ですので」というテロップにも意味があって、見ている人は思わずメモを取ってしまうのだ。

それでは最近見た商品と冷静なアタシの感想を並べてみようか・・・

贅肉電もみベルト。(あんなのくすぐってーべ?)

ボーリングの球を2個も吸い付けてしまうハンディー掃除機。(タタミが浮いちまぁーよ!)

換気扇の汚れを蒸気でダラダラに溶かしてしまう装置。(マジックリンでも落ちんべ!)

ワインに空気を混ぜるキャップ。(素直にデキャンタ使えばいいジャン!)

アタシャ、TVショッピングなんかに騙されないカンネ!

ついつい見ちゃうけど・・・