ピンポン

湘南が舞台の映画

2003年1月21日

『あれ? 江ノ島が見えてんよ』『やっぱそうだ、この電車、江ノ電じゃん』『あれ? 弁天橋かよ。なーんだ、藤沢が舞台なのか、へぇー』窪塚洋介主演という情報以外、なんの予備知識もなく観に行った【ピンポン】。江ノ電のシーンで、はじめて湘南が舞台だということを知った。そう言えば主人公のペコが話している言葉は、湘南の悪ガキ風で、まったく違和感がない。

「握り方から教えてくれろ」

このセリフなんか典型的な湘南悪ガキ言葉だ。原作は、先日観た映画【青い春】と同じ松本大洋という漫画家だが、おそらく湘南育ちなんだろう。なんとなく親近感を覚える。

物語も登場人物のキャラクターもベリーグー。選曲もピタリ! 爽やかな音楽が気持ちいい。窪塚洋介のひとり舞台かと思っていたが、脇役の演技もマンガチックで楽しかった。竹中直人さえ出てなかったら、99点あげるのに、チトもったいなかったな。竹中直人は主役を食うような演技をするから、あまり好きじゃないんだ。

「この星の一・等・賞になりたいの、卓球で俺は、そんだけ!」(ペコ)

「卓球なんて、死ぬまでの暇つぶしだよ」(スマイル)

「アイ キャン フラーイ!」(ペコ)

「おかえり・・・、ヒーロー」(スマイル)

印象に残るシーンがいっぱいあったな。特に冒頭のシーンが良かった。巨大クレーンを使った胸の空くような映像に思わずニヤリとした。

評価95点。低予算、短時間でよくこれだけの映画が撮れたものだと感心した。それだけ原作が良かったんだろう。DVD か原作のコミックを買おうかな? CG の使い方も非常に効果的だったと思う。いたずらに金をかければいいってもんじゃないね、映画は・・・

ところで

実はアタシも卓球部員だったことがあるんだな。中学1年からのおよそ1年半という短期間だったけどね。最初の半年がヒノキ製のペングリップで、あとの1年は合板のシェイクハンド。映画にも出てくるバタフライの Tempest という、その当時でイチバン切れる裏ソフトラバーを使ってたよ。生ゴムの含有率が高くて、とっても臭いラバーだったっけ。

映画を観て、代々木の唐橋卓球に入り浸ってた頃を思い出した。Tempest は寿命がとっても短かいラバーだったんだ。(およそ2週間で切れが落ちた)

卓球の他に、柔道を中学1年から大学1年まで、サッカーは小学校高学年から高校2年までやってたが、卓球がイチバンのめり込んだスポーツかもしれない。飽きっぽい性格だから短期間だったけどね。親に卓球キチガイと呼ばれたこともあった。

卓球は、やってない人から見ると暗ーいスポーツに見えるだろうが、やってる本人は無茶苦茶アツイんだ。周りが見えなくなるほどのめり込んでしまうスポーツだね。これほど集中力と反射神経を必要とするスポーツは他にないんじゃないか? たった3日練習を休んだだけで、ボールが見えなくなってしまうほどシビアだよ。

それから、性格がプレーぶりにモロに出るところが面白い。相手の表情がよく見えるし、個人戦が主体だから心理戦もある。なんとか相手の嫌がる攻撃法を先に見つけ出してマイペースに持ち込んだ方が勝つのだが、ワンセット終わるまでには、相手が見えてくるし、サーブ権の関係で2セット目以降の逆転劇もよくある。日本じゃ流行らないけど、けっこう見応えのあるスポーツだと思うね。

戦型は大きく分けると5つかな。前陣速攻型、前陣攻守型、カット主戦型、ドライブ主戦型、オールラウンダーの5戦型にだいたい分けられるだろう。

短距離ランナーで攻撃的な性格の人は前陣速攻型。(多くても5球目までに勝負を決めるスタイル)

ツッツキやショートがうまい技巧派は前陣攻守型。(粘って相手のミスを誘ったり、相手のパワーを逆手に取るスタイル)

手足が長く、粘り強くて奇襲戦法が得意な人はカットマン。(優雅でカッコよく懐が深い)

パワーに自信がある人はドライブ主戦型。(見る人をアツくするパワフルな戦士)

相手に合わせて戦法を臨機応変に変えられる人はオールラウンダー(多彩なワザを誇る沈着冷静な頭脳派)

要するに、どんな性格でも卓球はできるんだ。ちなみに、日本人で初のプロ卓球選手になった松下浩二選手はカットマンだが、攻撃も天下一品。意外だけど、年間数千万の稼ぎがあるらしい。

アタシが卓球にのめり込んだ1971年は名古屋で世界選手権が開催された年で、卓球が凄いブームだった。一本指しグリップでドライブ主戦型の長谷川、前陣速攻と天井サーブの中国式、その年の世界チャンピオンになったベンクソン(スウェーデン)のバックハンドドライブは今でも鮮明に覚えている。

ラケットをペングリップからシェイクハンドに持ち換えたのは、ベンクソンの膝の屈伸を利用したバックハンドドライブに憧れたからだったな。あれはペングリップじゃできないワザだ。

とにもかくにも【ピンポン】はアタシにとって、とびっきりの映画だった。懐かしくて楽しくて、胸が張り裂けそうだったよ。原作者の松本大洋、脚本の宮藤官九郎、曽利文彦監督に拍手を送りたい。

「サイコーだぜ!」

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