アカデミー賞

「観る」と「見る」は違う

2003年3月29日

今年度のアカデミー主演男優賞を受賞したのは、【戦場のピアニスト】でウワディ・シュピルマン(ユダヤ人の名ピアニスト)を演じたエイドリアン・ブロディ(29)だった。

アタシャ当然だと思ったが、アメリカ人は【ギャング・オブ・ニューヨーク】に出演したダニエル・デイ=ルイスを最有力候補だと思っていたらしい。この映画に対するアタシの評価は激辛の45点だったけどね。

内容は【戦場のピアニスト】がホロコーストをテーマにした「戦争と平和」について考えさせる作品で、【ギャング・オブ・ニューヨーク】の方は「残虐なアメリカの過去」を物語る作品だった。(アタシャそうとしか観られなかった)

どちらも内容は、かなり残酷だが、主演俳優の演じ方がまるで違っていたのだ。ダニエル・デイ=ルイスは余裕しゃくしゃくで役になりきることを楽しんでいるように見えたが、エイドリアン・ブロディーは、役作りのために飢餓状態を本当に味わっていた。

そりゃーもう、空気を吸うのが精一杯というほど迫真の演技だったね。まだ観られるので、是非、映画館で観てほしい。観た人じゃなきゃ、どれぐらいスゴイ演技だったかわからない。言葉では、到底伝えきれないよ。

たとえば、シュピルマンは廃墟で缶詰を見つけるのだが、体中の筋肉が萎えきっているので、缶が開かないというシーンがある。食べたいから必死で頑張るが、どうしても開かないのだ。そういうシーンって、本当にその状態を味わった人にしか撮れないだろう。

このように平和時には思いつきもしないシーンが、映画の中にいくつもあった。アタシがこの映画をブッシュに見せてやりたいと思う気持ちは、きっとあなたにもわかるはずだ。

「観る」と「見る」は違う。「ブッシュに見せてやりたい」は「見せる」が正しいと思う。ヤツは見たくないだろうから、無理矢理という意味で、単に視覚的に物をとらえることを意味する「見せる」を使った。「観る」は「見て楽しむ、あるいは感じる」ことを意味するから、アタシャいつも使い分けるのだ。