ローマの休日を観て

50年前の貨幣価値

2004年1月26日

海老名の TOHO CINEMAS で【ローマの休日】(デジタル・ニューマスター版)を観てきた。デジタル・ニューマスター版というのは、50年前のフィルムを画像処理で補い、明るさやコントラストを全般的に補正したものらしい。

有名な映画だが、観るのはこれが初めてだった。画面はテレビサイズで、絵はモノクロ。だが、オードリー・ヘップバーンの顔はフィルムにも化粧が施されたのだろう。50年前に上映されたフィルムより美しいかもしれない。

とにかくオードリー演じるアン王女が可愛いのだ。現代のハリウッド女優にも、こんなに可愛い人はいない。あたしゃ、ロード・オブ・ザ・リングでエルフのお姫様をやっているリヴ・タイラーがお気に入りだが、そのリヴ・タイラーでもオードリー・ヘップバーンとは比べ物にならないと思った。

まず驚くのがウェストの細さね。その辺で地べたに座ってるルーズソックスねえちゃんに見せてやりたい。オードリーのウェストは『胃や腸はどこにあるの』ってぐらい細いから、彼女らの太モモぐらいしかないのだ。ビッグマックなんか食ってる場合じゃないぞ。

50年前にこの映画を観た日本人は、夢を見ているようなカンジだったに違いない。フィアットのちっちゃい車や、愛らしいベスパも欲しくなったはずだ。他に娯楽のない時代にこれを見せられたらたまらないよ。憧れて夢を見て、寝ても覚めても溜息をついていただろう。

ローマの休日絵はがき

そしてそして、この映画の見どころはアン王女がジョー(グレゴリー・ペック)から1,000リラ借りて街へ飛び出すシーンからはじまるんだ。アン王女はお金を一銭も持ってなかったの。

「少しお金を貸してくださる?」

「困ったお嬢様だな。じゃあ、1,000リラ貸してあげよう」

<ハンカチほどの大きさの1,000リラ紙幣をアンに手渡すジョー>

「まあ、こんな大金よろしいの? 住所を教えて、郵便でお返しするわ」

「1,000リラは1ドル50セントぐらいの価値なんだよ」

さあ、ここからなんだ。ここからが面白いの。アンはジョーから借りたお金で、まずオシャレな紐付きのサンダルを買う。そして、ヘアサロンに飛び込んで長い髪をバッサリと切り、サザエさんみたいなヘアスタイルに・・・

『1ドル50セントって戦後の日本では・・・えーと、えーと・・・1ドル360円だったから・・・540円? なんか貨幣価値がよくわかんないな』

さらにアンはスペイン広場でジェラートを買い、そこで1,000リラをほとんど使い果たしてしまう。つまり540円でサンダル代、ヘアカット代、ジェラート代を支払って残りは小銭だけ。

これを今のお金に換算してみよう。まずヘアサロンで長い髪をショートにするには・・・これはピンキリだけど少し安めに見積もっても3,500円だな。紐付きのオシャレなサンダルは・・・靴の本場イタリアでも3,980円ってところだろうか。そして、ジェラートが300円。締めて7,780円だ。これを540円で割ると・・・14.4倍か。うーん、どうだろう、こんな計算で合ってるかな?

アタシは家に帰ってからオヤジに昔のことを訊いてみた。

「今から50年前、昭和28年頃の物価を教えてくれ。食べ物とか床屋の値段とか・・・」

「うーん、そうだなぁ。昭和30年頃よく当直をしたんだが、その頃の当直代はいくらだったと思う?」

「さあ、どうだろう? 500円ぐらい?」

「その半分だよ」

「えーっ! 250円?」

「そう、250円。その頃、夜中に腹が減って、よくラーメンの出前を頼んだ。そのラーメンの値段が28円だった。だいたいその頃のラーメンは20円から30円ぐらいだったな」

ちなみに、うちのオヤジが勤めていたのは共済病院の薬局で、その病院は東京にあった。あとの計算は皆さんにお任せしよう。さあ、みなさんも、こんなことを考えながら【ローマの休日】を観てごらん。こりゃ文句なしに必見の作品だ。

オードリー・ヘップバーン