2004年4月3日

アタシはノロノロと11時頃起き、2階の部屋から1階のキッチンへ降りていった。キッチンと隣り合わせの居間では父が高校野球を観ている。
「あれっ、東北高校だよね。ダルビッシュはどうしたの?」
ダルビッシュは父親がイラン人の貿易商で母親が日本人。今大会、1回戦でノーヒットノーランを記録した球界注目のスゴ腕だ。身長は現在194cmだが、いまだに成長が止まらず成長痛に悩まされているという。
「さっきから投げる用意はしてるよ。リードしてるし、けっこう“メガネ”もやるんだよ。3回にホームラン打たれたけど、そのあとはピシャリと抑えてる」(父)
“メガネ”というのは、今どき珍しい黒ぶち眼鏡をかけたサイドスローのピッチャーで、名前は真壁君という。どうやら回は7回の裏、済美高校の攻撃らしい。
「済美高校ってどこ?」(母)
「たしか愛媛だよ。愛媛ってスポーツのレベルが高いからね、無名でもけっこう強いんじゃないの?」
「ダルビッシュってスタミナがないみたいね。今日は“肩が重い”と言ってるらしいよ」(母)
「ここまで来るチームはプロみたいなもんでしょ。今日は抑えで投げるんじゃないの?」
ダルビッシュに比べれば劣るだろうが“メガネ”(真壁)の調子もなかなかいいようだった。7回しか見てないが、横手から繰り出すシンカーがプロ並みに曲がり落ちて、済美高校のバッターはキリキリ舞いだ。
そして8回、先頭打者のピッチャー真壁がなんと左中間三塁打。そのあとピッチャーの暴投で1点を追加してスコアは6対2と4点差に広がった。残すは1回のみだから、誰でもセーフティーリードと思っただろう。イザとなればダルビッシュも控えてるしね。
だからアタシはブランチを食べたあと、テレビもつけずに2階で仕事をしていた。もう決まった試合を見る気もしないっしょ。ところが・・・
「サヨナラホームランで東北が負けたよ」(母)
「えーっ?!」
(`ё´)
テレビをつけてみると確かに済美高校が校歌を歌っていた。いったい何が起きたのか?
asahi.com より
サヨナラ本塁打は済美の高橋が記録。今大会、福岡工大城東の藤沢が拓大紅陵(千葉)との2回戦で放って以来、大会史上16本目で、逆転サヨナラは3本目。
これはね、甲子園伝説になる出来事だよ。名選手に伝説は付き物だ。たとえば松井秀喜の5打席連続四球(対明徳義塾戦)。それから、あの怪物江川卓でさえ優勝できなかった昭和48年の選抜大会・準決勝。
この2試合は死ぬまで忘れない。このような忘れがたい試合を経験した選手が最後に栄光を掴むんだ。だからきっとダルビッシュもプロで名選手になるだろう。北京オリンピックに野球が残っていれば、必ずダルビッシュがチームの柱になっているはずだ。(メジャーリーグにさらわれなければの話だけどね)
BEGIN/誓い
「熱闘甲子園」のために書き下ろされた曲