万字ヶ池の春

パターンがわかってきた。フライはゾンカーで40秒前後のカウントダウンだ。もう迷わない。さらに気合を入れて渾身のフルラインキャスト! 完璧にターンオーバーした。スラックをとってカウントダウン、30秒、40秒、41、42、43…

バスッ!

まるでスティールヘッドみたいな重い手ごたえ。沈んでいくゾンカーを引ったくったようだ。あわててラインを鋭く2回手繰ってアワセをくれてやる。

『よーし、乗った! なかなかの手ごたえだ。今までのよりデカイぞ』

まったく寄ってこない・・・かと思ったら、急にこっちに向かってきた。あわててラインを手繰ってテンション確保。今度は真下にもぐった。

じりじり引き寄せると意外にデカイ!

『50は下らない、うぅ〜〜!』

ウィッ・ウィー!

恐るべきジェットランでバッキングまで出ていった。

『リールでやり取りしなければ!』

『こいつは逃がさないぜ! 慎重にいこう』

『ゲゲッ! よく考えたらサーモンネットを置いてきた・・・』

10メートルまで引き寄せるが、またもジェットラン。しかも今度はまっすぐ沖に向かいやがった。とっさの判断でドラグを素早く緩め、左手でスプールを軽く押さえた。

パパパパパパパパパパーン

ハンドルで指をイヤというほど弾かれた。

『しびれるぜ〜!』

5分ほどしてようやく水面下に姿を見せたが、逃がせないサイズだった。フライは運良く口のわきに掛かっている。最高にばれにくいポジションだ。リールを恐る恐る巻いて強いテンションはかけない。驚かせないように慎重に慎重に・・・

リーダーをロッドティップまで巻き取った。しかし、油断はできない。まだパワーは十分残っている。完全に腹を見せるまで適度なテンションをかけ続けねば…

よーし、寄ってきた。エラに指を突っ込んでボートに放り上げる。

「えいっ!」

ウィッ・ウィィィィィィィー!

『しまった!』

手が滑って、またも10メートル走られた。ここからさらに2分ほど今度は強めのテンションをかけて弱らせる。

62センチ『よし、今度は腹を完全に見せたぞ』

抱きかかえるようにしてハンドランディング成功! よく見るとヒレの角が立っているではないか・・・

『こいつは昨日今日放流されたやつじゃないぜ』

興奮して大きさを計るどころじゃない。とにかく一目散に桟橋に帰ることしか頭に浮かばなかった。大急ぎでアンカーを上げ、全速力でボート屋を目指す。もう、うれしくてうれしくて疲れなんか吹っ飛んだ。

久々の大物、しかもナイスファイト。

『ボート屋のオヤジに写真を撮ってもらわなくちゃ』

桟橋でマスをぶら下げて歩いていたら、隣のボート屋で釣りをしていた兄ちゃんが「デケ〜〜〜!」と言って目を丸くした。彼等はボウズだったようだ。

Zonker『そう言えば、14日の土曜日にちょっと羨ましいサイズをぶら下げているフライマンがいたっけな…』

『今日は俺が一番だろう。ザマーカンカン、カッパの屁!』

オヤジに大きさを計ってもらったら62センチあった。これは会心の一撃どころじゃない。ドラクエにたとえればバハムートぐらいの破壊力! これで当分 Tomy はフライマンだ。トローリングで釣った時よりはるかにうれしいぞ。参考までに今回のタックルなどを書いておこう。