ばるオジサン第2海堡を語る

ばるオジサン大いに語る

ポリタン題名は【ばるオジサン第2海堡を語る】にしましたが、実際は“語られる”に近かったですね。まるで Tomy はチョウチンアンコウの誘いに乗った小魚のようでした。言い換えれば、飛んで火に入る夏の虫ってヤツです。

写真は村本海事の奥にある物置ですが、ここには常連会のポリタンがたくさんキープされています。

これを見れば常連会の人達がどれぐらい第2海堡に狂っているかわかるでしょ。まるで行きつけの酒場のように通っているんですよ。

実は今回 Tomy が話しかけたのは第二海堡常連会のオジサンだったのですが、遠くから見ているだけでも『ただ者じゃない』という雰囲気が漂っていました。

「こんばんは、さっきからだいぶウキが消し込んでますね」

「いやぁ、たいしたことないですよ。今日は小潮だからね。本当は長潮のあとの中潮か、大潮のあとの中潮がいいんですよ」

「あんたはフッコ釣りかい?」

「ええ、ルアーです」

「そうかい、常連会にもルアーをやる人はいるけどね、3人ぐらいかな…。今日は釣れたのかい?」

「ええ、さっき5時頃でしたけど、四畳半で2本ほど」

「そうだろう。あそこは上げっぱなが最高なんだ。 おっとまた来た」

オジサンがウキをすぅーっと引き寄せた途端にサーフライトが消し込んで、メバルが上がってきました。大きなサーフライトを使っているのですが、メバルはなかなか力があるようです。

「最近は人がだいぶ減りましたよ。去年の5月に防空壕が埋められちまったからね。まったくひどいことをしますよ。ずいぶん金をかけていた人もいたからねぇ。中には発電機や風呂まで持ち込んでいた人もいたんだから…」

「えっ? 風呂まであったんですか?」

「ああ、100万ぐらいかけたらしいよ。でも2,3カ月あとには埋められちまったけどな。かわいそうだったよ」

「さっき思いっきりウキが消し込んでいましたよね。フッコでも掛かったんですか?」

「イヤ、これだよ」

ばるオジサンがうしろを指さすと、そこには60センチほどのサメが2匹転がっていました。

「サメだったんですか…」

「去年の夏だったかな、猫落としの左側に赤レンガがあるでしょ。あそこで仲間が10キロもあるマダラエイを釣り上げたよ。でっかかったなぁー」

「すごいなぁ、よくそんなのが上がりますね」

「メバルはハリスを太くしても関係ないんだよ。フッコも来るからね。ハリスは4号ですよ。道糸は3号でね」

「エサは何ですか?」

「ドンコと私達は呼んでますけどね。正式な名前はよくわかりません。磯の岩をひっぺがすと捕れるんですよ。網を使って捕るんですけどね」

「こいつは目が光るからメバル釣りには最高なんです。よく釣れますよぉ。死んじまっても何回でも食いつきますからね。余ったら冷凍にしておけば次に来たときに、また使えるんです。こいつを一番下のハリに付けて、他の2本はバケを付けてるんです」

「へぇ〜、バケですか」

「今は土佐カブラを付けてますけどね、いろいろあるんですよ。黄緑のウィリー巻とかね」

このあと仕掛けについてのウンチクが約20分延々と続いたので、中略。

「今あそこでルアーをやってるでしょ。あれをやられちゃうと魚が散ってしまうんだよね。わたしゃもう年寄りだからこの釣り方しかできんけども…」

「でも、10分に1匹ぐらいはコンスタントに釣れてますよね」

「イヤイヤァー、こんなもんじゃないですよ」

ブツブツ言いながらもオジサンは結構調子良くメバルを釣り続けた。40メートルほど投げては少しずつ巻き寄せて誘いをかけ続けるのである。2,3投に1匹のペースはその後も乱れることはなかった。

ばるオジサン

「これでフッコも来ますからね。11月だったかな? 3キロぐらいのが一荷できたときは参りましたよ。なかなか上がらなくてね」

「そりゃすごい! 上がったんですか?」

「上がりましたよ。7キロぐらいのも上げたことがありますよ」

「僕はまだ3キロが最高です」

「ここは11月がいちばんいいね。今はまだ痩せているでしょ。これから夏場になると脂が乗って美味しくなるよ。夏のフッコはウマイですよぉー。バター焼きがいちばん飽きがこないね」

さらに魚料理についてのウンチクが約20分続いたので、中略。

「本当は地下の探検をしに来たんですよ。釣りは二の次だったんです」

「そうかい。去年の5月に埋められちまったんですよ。前々から埋めるという話は聞かされていたんだけどね…」

「みなさんの基地もあったんでしょ?」

「ありましたよ。あれが埋められてからは来る人がだいぶ減ったねぇー。まったくひどいことをしますよ」

「理由は何ですかね?」

「それがハッキリしないんですよ。お役人も国の方針と言うばかりでね」

地下壕跡

実はニャン吉ケ丘のすぐ下に1個所だけ掘り返された跡が見つかったのである。見張り台の下だからわかりやすいね。多分ここにはお宝が隠されていたに違いない。お宝を埋められた人が慌てて掘り返したのではないだろうか?

人がやっとひとり通れるぐらい砂がかき分けられていたのだ。入ろうと思えば入れるが、今回はやめておいた。次回、誰かに入ってもらいたいと思う。

「今、工事をしているのは何ですかね?」

「あれはタンカー火災の消火訓練所だよ。タンクとかプールみたいなもんがあったでしょ。あそこで重油を燃やして消火訓練をするんですよ。タンカーの乗組員が来て講習を受けると免許がもらえるんです。みんなその訓練を受けなきゃならなくなったらしいね」

「へぇー、そうなんですか。」

「いろいろ聞かせていただいてありがとうございました。さぁてと、僕も釣りをしようかな…」

「がんばんなさい、若いんだから。あたしなんかもう73ですよ」

「お若いですね。とても73歳には見えません。身のこなしが若々しいです」

「定年後、職業訓練高に通って植木職人をしているんですよ。もう12年もやってるから今ではお弟子さんも2人いますよ」

このあとさらに身の上話を約20分聞かされたので、中略。

その後、Tomy はキャンプに戻って釣りを再開しました。Yosさん、Nobit さんは船着き場にメバル釣りに出掛け、Tomy は猫落としでルアーを約1時間半…。

Yos さんは青イソメエサのウキ釣りでカサゴを何匹か釣り上げましたが、Tomy と Nobit さんのルアーにはアタリなしです。3人は申し合わせたように9時頃キャンプに戻ってきました。

またしばらく酒を飲んだあと就寝。ひっきりなしに通る大型船のエンジン音がうるさく鳴り響いていましたが、3人は深い眠りに落ちていきました。

でも、Tomy はばるオジサンから「次は1時から2時の下げっぱながいいよ」という話を聞いていたので1時頃ひとりでテントを抜け出しました。あとの2人は起こすのがかわいそうなぐらいよく寝ていたけど…

おお、ここで川柳を一句!

Nobit さん 武士は釣らねど 高いびき

ばるオジサンの言った通り、2時までは簡単に釣ることができました。しかし、そのあと3時過ぎまではまったくアタリなし。やめようかとも思いましたが、昼寝をしたのでまったく眠くありません。

さらに4時まで粘って合計6匹。やはりばるオジサンにはかないません。次回はばるオジサンを真似してメバルもたくさん釣りたいものです。