シイラ関数

麦わらオジサン登場

1998年7月4日

平塚では7月3日から7日まで七夕祭が盛大に行われている。商店街には色とりどりの竹飾りが立てられ、なかなかの賑わいだ。

七夕祭しかし、湘南ロケッツが平塚にやって来た目的はシイラ釣りただひとつ。七夕祭は帰り道が渋滞するから迷惑でしかない。

興味があるのはシイラの乱舞だけである。幸い天気が良く、風も弱い。この分なら何とか初心者にも釣れるだろう。

それでは今回のメンバーを改めて紹介しよう。まずはじめが前のページで紹介した沖口さん。続いてTomy、Tomyをシイラの世界に引きずり込んだ張本人の mahi2 君。

そして、海なら何でもやる Yos さん、バスマンからシイラーに転向した DADA 隊員、シイラ初挑戦の腹Timerさんを合わせ、総勢6名の Shonan Rocketsだ。

庄治郎丸に着いてみると、今日は若いお客さんで超満員だった。ルアーのタックルが所狭しと並べられ、ルアーウーマンの姿もチラホラ。こんな日にアジ釣りに行ったらよそ者扱いされてしまうだろう。シイラ船は大型2隻でもギュウギュウ詰めの満員御礼状態であった。

そこで、ロケッツのためには特別に“ちび丸”が用意されることになった。見るからにオンボロでノロそうだけど、ロケッツ以外のお客さんは2人だから、ほとんど貸し切り状態だ。遅くても自由に右舷左舷を行き来できるのはいいことである。

麦わらオジサン

上の写真は朝のミーティング風景だが、今年初めてロケッツの間で有名な“麦わらオジサン”が姿を見せていた。この人は去年の釣り日誌で既に紹介したが、格好は防波堤で投げ釣りをしているオジサンそのものである。

やけにでかいリールが目立つだろ。どう見ても投げ釣り用のリールなんだ。いつも右舷の前から3番目に陣取るのがお決まりのパターンで、トレードマークは麦わら帽子と日焼け止めクリーム塗りまくりの白い顔。かなり平均年齢を押し上げているからイヤでも目についてしまう。

オジサンのシイラ歴は4、5年らしいけど、いつも一人で連れはいない。きっと会社では孤独な管理職なのだろう。部下達はオジサンのこの姿を見たらぶったまげてしまうに違いない。オジサンにこんな趣味があろうとは夢にも思わないはずだ。

ニヒルな麦わらオジサン。オジサンはけっこう釣るが、決してニコニコしない。本当は楽しくてしょうがないはずなのに無表情を決してくずさない。とっても変わった人なので Tomy は“麦わらオジサン”というあだ名を付けて、ひまなときに観察しているのだ。

妄想モードに突入!

ある日、Tomy は小田急線の中でスーツ姿の麦わらオジサンを発見した。『あの仏頂面はまぎれもなく麦わらオジサンだ。驚いたなぁ、こんなところでお目にかかるなんて。よおし! 秋葉原でもブラついてこようと思っていたが、麦わらオジサンを尾行してみよう』

Tomy は麦わらオジサンに興味を持っていたので急きょ予定を変更した。本を読むふりをしながら横目でチラチラとおじさんの様子をうかがう。

しばらくするとオジサンはポケットから見慣れないガムを取り出して噛みはじめた。『ん? 待てよ。しばらく噛んだあとで飲みこんだぞ?! も・もしや…いや、そうに違いない。あれは“都こんぶ”だ!』

そして、オジサンはおもむろに鞄のポケットに差し込まれていた日経を広げ、顎を突きだして、老眼鏡越しに読みはじめた。

『おっ? 今度は仁丹か…』こんぶしゃぶりのあとは仁丹攻撃。なかなかやるもんだ。スキがない! 完全無欠のモーレツ世代である。

オジサンは代々木上原で小田急線を降り、地下鉄千代田線に乗り換えた。そして降りた駅は都心の大手町。オジサンは駅の売店で KENT MILD と都こんぶを買ったが、売店のおばさんには金を渡しただけで無言だった。

午前10時、オジサンは大理石張りの玄関を通って立派なビルに吸い込まれていった。受付の女性はオジサンに深々と頭を下げ、オジサンが乗ったエレベーターに駆け込もうとした若い男性社員はオジサンの顔を見てエレベーターに乗るのを遠慮した。

『じゅ・重役出勤だ…』オジサンは大会社の重役だったのである。

Tomy はこんな想像をしているのだが、本当のところはまったくわからない。とにかくオジサンは終始無表情、そして無言なのである。オジサンがシイラ船に乗りはじめたキッカケは、キス釣りのつもりで乗る船を間違えたのが始まりかもしれない。