とっさの一本釣り

2度目のチャンス

しかし、次のチャンスはなかなか来ない。まわりにたくさん船がいるが、どの船も暇そうだ。そろそろイワシマンの獲物が船中唯一のカツオになるかと思っていると…

ようやく2度目のチャンス到来。Tomy の竿にもググンと強いアタリが来た! リールはフリーのままにして10メートルほど持っていかれたところであわせる。

ビュイーン

ジェットスキーでも引っ掛けたかと思うほどの猛スピード。ABU7000 から PE ラインがどんどん引き出されていく。青、黄、緑、オレンジ…

♪あー、どうにも止まらない♪

「うっ・・・やられた」

かかりが浅かったらしく1匹目は痛恨のバラシ。しおしおと何もついていないハリを回収していると、船上がパニック状態に突入した。

まずイワシマンが2匹目を上げ、なまむぎさん、Yos さんがそれに続く。そして、これまでのオフ会でことごとく空振りを続けてきたマルボーさんまでが…

『ま・まずい。このチャンスを何とかモノにしなければ!』

バケツのイワシを使い切り、大急ぎで前甲板のイケスに走る。バタバタと跳ね回るカツオを踏まないように、引きずり回される隊員達をかき分ながら…

「イワシ、イワシっと」

ようやくイケスに到着、いざイワシちゃんをチビ玉ですくおうとした、その時だった!

ミヨシで釣っていたソル男さんのシイラロッドがグニョリと根元から曲がり、スピニングリールのドラグが凄まじいノイズを発しはじめたのだ。

デカイ! 止まんねぇーよ! 向かいの船まで行っちまう!」

このとき青木丸は数隻の釣り船に囲まれていた。ソル男さんのラインはピーンと張り詰めたまま30メートルほど離れた船の下へ突っ込んでいく。

「うわぁー、止まんねぇーよー!」

“バツッ!”

衝撃で後ろに倒れそうになるソル男さん。大物は船底を利用してラインを断ち切ったのだ。名付けて“船ヤスリ攻撃”。敵ながらあっぱれじゃ!

その他にもカツオは左右に交差してオマツリを誘う“X攻撃”や急に方向を変えてフックを外す“Jターン作戦”を巧みに使い、次々に釣り人の魔手から逃れていく。めくるめくスピード。ほとばしるパワー。カツオは海中を飛び交うジェット戦闘機のようだ。

あのスピードでカツオ同士が正面衝突したら死んでしまうだろう。

『エアバッグを装備しないとカツオなんかやってられないな』

そんな心配をしてしまうほどカツオは速い。速すぎる。

イワシをすくって釣り座に戻ると、今度はマルボーさんの仕掛けが引ったくられた。どうすることもできない。あまりにもパワーがありすぎるのだ。スプールがあれよあれよという間にやせ細っていった。

『こ・これは! もしや・・・』

「キメジか! ラインがなくなっちまうぞ!」

「早く止めないとラインがなくなるよ〜!」

ラインは猛スピードで左へ左へ左へ・・・左え?・・・

・・・左に・・・船が走り去っていく。

・・・犯人は萬治郎丸だった。

「みなさんお騒がせしました」

(`⊥´)ゞ

マルボーさんがペコリと頭を下げたところで場所を移動することになった。どうもカツオの群が小さくて入れ食いが長続きしないのだ。引きは味わったものの、まだ半数の隊員がカツオを手にしていなかった。カツオは予想以上に手強い。

やや間が空いて3度目のチャンス。

オヤジは慎重にカツオの動きを読み、群が通りそうなところに船を止めた。今度こそ掛かったら容赦しない。Tomy は慎重にハリを刺してイワシを送りだした。

元気よく水面を泳ぎ去るイワシ。エサの刺し方も手慣れてきた。10メートル、20メートル、元気が良すぎてイワシは見えないところまで行ってしまった。ラインのたるみが気になったので少々巻き戻そうとした、その時だった。

DADA 隊員ゴゴン シャーッ

アッと言う間に30メートルほどラインが持っていかれた。緩めてあったドラグを締めてカツオの動きを止める。すると今度は右の方に走り出し、3匹目を掛けたイワシマンのラインと交錯しそうになった。

イワシマンの左脇に左手で竿をこじ入れ、イワシマンを抱きかかえるような格好で竿を右手に持ち替える。何とか場所の入れ替わりに成功。しかし、今度は腹Timerさんのラインと交錯して大ピンチ!

「あと少しだ。腹Timerさんリールをフリーにしてくれ!」

みんなの協力で Tomy もなんとか1本上げることができた。うれしいうれしい。思わずガッツポーズである。

まわりを見回すと、ここでは Kenya さん、佐倉民さん、DADA 隊員が勝ち組の仲間入りを果たしていた。そして、表紙に登場したさわむルアーさんは3キロオーバーのカツオと今まさに格闘中だった。

しかし、まだ何人かがカツオを手にしていなかった・・・