初めてのエギング

1998年12月12日

そもそも今回の題名には、J屋のコマーシャルでお馴染みの松方弘樹がかかわっている。釣り物はアオリイカだったのだが、どうして松方弘樹がかかわっているのかを長ったらしく説明しよう。

松方さんと言えば大物釣りで有名だ。皆さんも1度ぐらいテレビで見ているだろう。しかし、舞台裏では女優もしっかり釣っていたということが最近明らかになった。この話はみんな知っているよね。不倫相手の名前は忘れちゃったけど、それはこの際どうでもいいから話を進めるぞ。

さて、今月の始めごろだっただろうか? 何気なくテレビを見ていたら、記者会見の席上に昔なつかしい江木俊夫が出てきた。どうやら松方さんの不倫相手が江木俊夫経営の芸能プロダクションに所属していたらしいのだ。

20代の人は知らないかもしれないが、江木俊夫はフォーリーブスというジャニーズ事務所のタレントとして、ひときわ人気があったのだよ。もうずいぶん前になるが、おりも政夫が【くいしん坊万歳】に出ていたでしょ。その、おりも政夫もフォーリーブスの一員だったのさ。

非常に古い話で申し訳ない。フォーリーブスがデビューしたのは1967年ということなので、もう30年も前に話はさかのぼる。フォーリーブスを知っている人は30歳より上に限られてしまうだろう。

♪地球はー ひ〜とつー♪

♪みんなのー み〜やこー みやこさっ!♪

知らねぇーだろうな、20代の人は…。まあいいや、とりあえずフォーリーブスを知らなくても江木俊夫を知っていればいい。

え? 江木俊夫を知らない?! ウーン、そいつは困ったな。仕方ないから江木俊夫が子役だった頃まで話を戻そう。江木俊夫が子役だった頃、手塚治虫原作のマグマ大使という特撮番組があったんだ。

確か、ロケット人間のマグマ大使と江木少年が破壊王・ゴアと戦うというストーリーだった。江木少年はマグマ大使との通信手段としてピロリロ笛をもらっていて、いよいよヤバくなったときにこの笛を吹くわけ。

笛を吹くとマグマ大使がやってくるんだけど、その様子を Flash で再現してみたので笛をクリックしてチョ!

マグマ大使(Flash)

笛を吹くとこんなのが出てくるわけよ。そんでもって、あとはウルトラマンとほぼ同じ展開。マグマ大使が金髪を振り乱しながら怪獣と戦って、やっつけたら去っていく。もう、これでもかってぐらいのワンパターンだった。

話を元に戻すぞ。記者会見場に現れた江木俊夫を見たところまで。

久しぶりに見た江木俊夫はずいぶん太って、おまけにオデコも広くなっていた。今じゃ俳優業はやめて芸能プロダクションをやっていたのだ。

『江木俊夫ねぇ。エギとしお……』

『そう言えば、湘南ロケッツの腹Timerさんがエギを使ってアオリイカを釣りに行くと言っていたな』

週末は家でページのリニューアルに励もうかと思っていたが、このあいだアオリイカをお土産にもらったことを思い出したら気が変わってしまった。アオリイカの身はやわらかくてとろけるようにうまかったのだ。

『じゃあ、ちょっくら行ってみるか』

そういう気持ちで金曜の晩から伊豆へ行くことになった。直前までは12日の朝に帰ってくると思っていたが、詳しいことを聞いてみると、24時間耐久釣りマラソンをするらしい。

『ちょっとキツイが、まあいいや。話のネタにはなりそうだ』

『釣れなかったらマグマ大使の話でごまかしちゃえ!』

…というわけで、今回の題名は【エギとうしろう】になったのである。しかし、エギを初めて手に取ったときには『こんなので本当に釣れるの?』と思ったよ。腹Timerさんが YOZURI のアオリーQピンク4号が釣れると言うので、素直にそいつを2個買って家に帰ったけどさ。

けっこう高いんだな、これが。1個1400円もしたから1杯は最低でも釣らないとね。生活がかかっている値段だよ。イカ釣りに行くと言った手前、手ぶらで帰るのもくやしいし…。

以後、腹Timerさんを腹さん、masa 田中さんを masa さんと略すぞ。

金曜の10時過ぎに masa さんを乗せた腹さんのイプサムがやってきた。この車は腹さんのファミリーカーで、ビデオデッキやカーナビが付いた本格的なレジャービークルである。最近は湘南ロケッツの“足”になりつつあるが…。

「じゃあ最初は早川港に行ってみましょう」

早川港は先週、腹さんが釣り新聞の情報をたよりに偵察してきた場所である。そのとき腹さんは常連エギンガーにいろいろ話を聞いてきたようだった。

「ぼくは釣れなかったけど、その人は6パイも釣ったんだよ。冷蔵庫のイカがなくなると、奥さんが“そろそろイカがなくなるよ”と言うんだってさ」

その人の奥さんもアオリイカの味にすっかり魅了されてしまったのだろう。スーパーで売っているイカとは一味違うからね。奥さんに「釣りに行ってきて」と言われる釣り師も珍しいのではないだろうか? イカ釣りは比較的、家族受けがいいようである。

さて、10時半に一行は早川港に着いた。既に防波堤では10人近い人が釣りをしているようだ。そして、そのうち半分はエギングらしい。

Tomy は半信半疑でエギを投げてみた。ロッドはシーバス用のケイロン・インショアー7ft、ラインは16ポンドでショックリーダーはなし。masa さんの話によると、ショックリーダーはない方がかえって良いらしい。

しばらく3人で同じポイントを攻めたがアオリイカは釣れなかった。masa さんは2回アタリを感じたと言うが、Tomy と腹さんにはまったくアタリなしだ。

『いったいどんなアタリなんだろう?』

これは1杯釣ってみないと何とも言えない。まったく釣れる気配がないので Tomy は擦り寄ってきた猫をなでて遊んでいた。

「じゃあ、伊豆の方へボチボチ行ってみましょう」

masa さんの一声で一行は再び車上の人である。そして、熱海、伊東を過ぎ、1時頃に富戸漁港へ到着。ここで masa さんは9月、10月に数釣りを楽しんだということだったのだが…。またしても1時間まったくアタリなし。

ちょっと風が強くて波があるのがいけなかったのか。それとも、既にここは場荒れしてしまったのか。他にもエサでイカを狙っている人がいたが、釣れている様子がないので再び移動することになった。

「いよいよ本命の下田港ですよ」

待ってましたと言うべきか、何と言うべきか…。とにかくまだ1度もアタリを感じないので、釣り方そのものがわからない。Tomy は半信半疑のまま下田港に着いたのだった。

午前3時、草木も眠る丑三つ時。

一行は下田港の犬走堤防に到着した。猫しか走っていないのに何故か犬走り。おかしな名前である。まわりを見回すと、他に3人ほど電気ウキでイカを釣る人がいたが、その他に釣り人の姿はなかった。

見様見まねでアオリーQをぶん投げる。20秒ほどカウントダウンして、底を取りながらゆっくりズル引き。masa さんに言われた通り、2秒でハンドル1回転ぐらいの超スローを繰り返した。

『なんだよ。全然釣れねぇーじゃねぇ』

『イカのアタリって、いったいどんな感じなんだろう?』

Tomy はますます疑心暗鬼に追い込まれていった。前回腹さん達が来たときは、どんな状況でも最低1匹は必ず釣って帰る、あのなまむぎさんでさえ釣れなかったと言うし…。アオリ釣りはなかなか難しいということを実感した。

『あんだよぉー! まだ1匹も釣らないうちに根掛かりかよ』

『ふぅー、助かった。取れたぜ』

ゆっくり角度を変えて引っ張ったら、海草が切れてエギはうまく回収できたようだ。2個しかないんだからだいじに扱わないと…。

『あれ? また何か引っ掛けちまったぜ』

『誰じゃい! こんなところにビニールを捨てたのは!』

『ん? ん?

なんじゃこりゃ!

「これはデカイよ。キロ級じゃないの?」

タモですくってくれた masa さんもビックリ。ビギナーズラックはこれだから恐い。エギとうしろう恐るべし! 時刻は3時40分。下田港で釣りをはじめて40分後の出来事だった。

およそ900グラム

家で秤に乗せてみたら900グラムほどあった。こんなのが釣れるとは夢にも思っていなかったので大喜びだ。根掛かりを外そうとしたところにコイツが近づいてきて、外れた途端に反射的に乗ったのだろうと masa さんは言っていた。

イカも他の魚と同じで、何らかのアクションが反射食いを誘うのだそうだ。ズル引きでもいいが、今回のような激しいアクションに大物が来ることもあるらしい。イカだと知らずに強引に巻き取ったが、サイズが良かったおかげで身切れせずに済んだのだと思う。本当にラッキーずくめだったのだ。

上の写真をよく見ると Tomy の目のまわりがちょっと赤いのがわかるだろう。実はこの時、燗番娘を1本飲んでホロ酔い気分だったのだよ。

『このクソ寒いときにシラフで棒が振れますか』

この投げやりな態度が幸運を呼び込んだのかもしれない。masa さんにあとで聞いた話だが、この日はイカの乗りが悪く、アタリを感じてもズル引きのままでは乗ってこなかったようだ。

「後半アワセを入れるようにしたら掛かりましたよ」

イカだと思わず強引に引き寄せたのが、かえって好結果に結びついたのだろう。

『ナルホド・ザ・とうしろう』

そう言えば、この日の腹さんはズル引きオンリーでヒットなし。アタリは何度か感じたらしいが、結局ヒットまで持ち込めなかったのである。

潮が長潮で活性が低かったせいかもしれない。ほんの一時のチャンスを逃がしたあとはまったくダメだった。Tomy は余裕で4時40分就寝。明け方に再び起き出すこともなく、2人が釣りを終了するまで車から出なかった。

Tomy はもう帰っても良かったのだが…