狼少年 Kenya

ワインディングロード

Tomy と Kenya は高原の別荘で2時間ほど仮眠をとり、夜明けとともに木崎湖へ向かいました。梅雨入りしたにもかかわらず、はるか雲海の彼方には銀色に輝く北アルプスの山々が朝日に映えています。

『ああ、今日はいい天気になりそうだ』

高原のワインディングロード、萌える森のみどり、アユの香りが漂う犀川を渡り、レガシーは小気味よく山を駆け巡ります。

『これよ、これ! この気持ち良さはマニュアルだけのフィーリング!』

箱根や高原のワインディングロードはレガシーが最も得意とする道です。低重心で軽量なエンジンはトヨタ、ホンダ、ニッサンには真似のできない水平対向。その上、ボディーの剛性は初代レガシーに比べると格段に強化されています。レガシーは特別高い車じゃないけど、ハンドリングは一級品ですよ。この感覚は一度レガシーに乗ればわかります。不況にもかかわらず、スバルだけは業績を回復しましたよね。なんでだかわかりますか?

それはね、簡単に言うと既存ユーザーが離れにくいからです。セールスマンなんか、新車を買うとき以外、声を聞いたことすらありません。車検の時期になってもハガキ1枚届くだけなんです。

「また買いたくなったら来るように」

スバルの営業は、それほど素っ気ないんですよ。にもかかわらず、新車購入の時期になると『やっぱりスバルしかないな』と思ってしまうから不思議。

つまり、一度スバルに乗るとサケ科の人間になってしまうんです。買い替えの時期が来ると、なぜか迷うことなく生まれた川に戻るわけ。母川回帰の理由はよくわかっていませんが、強いて言えば“水の味が一味違う”ということでしょうか?

さて、5時半に湖畔に着いたふたりは早速桟橋の周りでバスを狙いはじめました。漁協との取り決めで、ボートは7時を過ぎないと出せないのです。

しかし、桟橋周りのバスは手強く、Tomy 達は30分もしないうちに飽きてしまいました。ボート屋の話では、見えバスがいたら一旦やり過ごし、何分か間を置いて、遠くから狙うといいそうです。でも、そんな釣りはアバウ党向きではありません。粘るより釣りやすい魚を探し回るほうが向いているのです。

そろそろ釣りのシーンに進みましょう。


NEXT