サビキでガガガ

姫川港の釣り

1999年8月4日

信濃大町から糸魚川までは、およそ70キロ。Tomy は仁科三湖を左に見て、国道148号線を北上していった。ちょうど昼時だから真夏の太陽がギンギラギンだ。道路脇の電光掲示板は31℃を示していた。白馬村が31℃・・・これはまた、どえらく暑い日である。

左には北アルプスの山々。特に白馬の大雪渓が眩しい。そして、手前には長野オリンピックの会場にもなった八方尾根スキー場が長いスロープを四方に広げ、雪代で白濁した松川が姫川に注いでいた。

八方尾根

高空にはうろこ曇が浮かび、風は姫川に沿って南から北へ吹き抜ける。その風に乗って、1台のレガシーがトンネルに吸い込まれていった。ギンギラギンの世界から一転して闇の世界へ。あまりのギャップに暗順応が追いつかない。しばらくはセンターラインの白だけが頼りだった。

栂池を過ぎると姫川沿いの国道は、いよいよフォッサマグナにさしかかる。ここは衛星写真で見ても、地球の裂け目がくっきり見える大峡谷だ。左右の斜面はおよそ60度、国道148号線は崖下の洞門を約7キロもくぐり続ける。

そして糸魚川。秋田県の象潟に続いて、またしても日本海まで突き抜けた。淡水の釣りもいいけど、最近はどうも海に足が向いてしまうのだ。Tomy は釣具屋で、アミコマセ、トリックサビキ、投げ釣り仕掛け、青イソメなどを購入。真夏の太陽が照りつける1時頃、姫川港の岸壁に到着した。

下は姫川港の地図だ。釣具屋は地図の1番。最初に釣りはじめた岸壁が3番。2番には姫川港左折の案内板が立っている。

午後1時過ぎ、クーラーからコマセを取り出して岸壁に置くと、およそ10分でボロボロになった。トリック仕掛けをグシグシとコマセの山にこすり付け、ソロソロと海に浸けてやる・・・すると、すかさず豆アジの大群がガガガ・・・。たちまち入れ食いのガガガ

道具の選択が良かったらしく、まわりの視線を一点に集めるほどのガガガであった。忙しいったらありゃしない。グシグシグシ・・・ソロソロ・・・ガガガ・・・ピチピチ・・・ポイポイ・・・グシグシグシ・・・果てしないガガガ。たまにアジに混じってサヨリやカマスの稚魚、イワシ、サバなどが混じった。

でも、9割以上はアジである。ここで小アジを釣り、生かしたまま夜を待てばアオリイカも釣れるだろう。秋になると、ここでもアオリイカが釣れるそうだ。これだけアジがいるんだから、アオリも多いに違いない。

稚魚狩り投げ釣りに備えてアオイソメも買っておいたのだが、投げ竿を出す時間はなかった。一連の作業に Tomy は忙殺されていたのだ。もう、面倒くさくなってコマセをこすりつける作業を省略したのだが、それでもアジは空バリに食いついてくる。

空バリを投入、そこへコマセをひとさじふりかける。すると、またしてもガガガ・・・。アジの大群は Tomy のそばで真っ黒な渦になった。

おもしろい・・・と言うよりは、産業ロボットに任せたくなるような単純作業の繰り返しだ。仕掛けを投入し、コマセをひとさじふりかける。ガガガで1匹掛かったら1匹目を海面から上げてやる。そうすると、水中に残っているハリに2匹目が掛かるのだ。なぜか1匹掛かってしまうと、そいつを海面から出さないかぎり2匹目は掛からなかった。

そうこうしているうちも、強烈な日差しが容赦なく照りつけていた。帽子をかぶっていたのだが、3時間後には頭がクラクラ。そこで、Tomy は急いで残りのコマセを洗い流し、クーラーをビンビンに効かせた車に逃げ込んだ。3時間で100匹以上は釣れていたと思う。

GUSTO にてその後、釣具屋の近くに GUSTO を発見した Tomy は、メロンソーダの Sprite 割りを続けざまに3杯飲み干した。あと1時間釣り続けていたら日射病で倒れていたかもしれない。たかが豆アジ釣りで・・・。

アジのサビキ釣りは単純作業に陥りがちなので、皆さんも日射病・熱射病に十分注意しよう。“クラッ”ときたら、すでに危険信号。「豆アジとともに、この世を去りぬ」なんてことのないように。

死にザマとしては最高にカッコ悪い。せめて「クロダイ釣りに来ていたAさんは、高波にさらわれ・・・」ぐらいでないと、釣り人として情けない。

さて、水分補給で一息ついたところで、今度は夜釣りの作戦開始である。釣具屋に戻ったTomyはクロダイ釣りのエサとして、付けエサ用オキアミと Daiwa の4倍こませチヌを買った。Daiwa の説明によると、チヌは麦の香りと甘味に弱いのだそうだ。『ほんとかなぁ?』と思いながらも、なんとなく興味が湧いて小さいパックをひとつ買い、地図の4番へ。

西堤防の付け根

上の写真は地図の4番から西堤防の先端方向を見たところである。地図の5番までが約500メートル。その先の突堤部は1キロあると言うから、かなり長大な堤防だ。釣具屋の話だと、ついこのあいだまで赤い鯛が釣れていたらしい。

5番まで大型クーラーを持って歩いたのだが、突堤部には高さ2メートル以上の柵があって、釣り人立ち入り禁止と書いてある。Tomy はそこで素潜り漁をしているおじさんがいたので、水中の様子を聞いてみることにした。

「こんぐらいのチヌが泳いどる」

おじさんが広げた両手の間隔はだいたい35センチだった。クロダイなんか釣ったことがない Tomy にとっては立派なサイズだ。水深はだいたい3メートル。おじさんはテトラポットに付いた岩ガキをコンビニの袋に2袋も採って意気揚々と帰っていった。

暗くなるのを待って、まずはマキ餌だ。

こませチヌを海水でフワフワの練りエサにしてバンバン投げ入れる。本当ならオキアミと混ぜて使うのだろうが、そんなことをしたら全身オキアミ臭くなってしまうので、オキアミは付けエサのみ。

このマキ餌は独特な甘い香りがした。こ・これは麦チョコの香りだ! そして、マルキューの付けエサ用オキアミがまた甘い。砂糖の何倍も甘いのである。クロダイはよほど甘党なのであろう。

日本海なので、普段使っている潮時表は当てにならないが、芝浦の満潮が21時38分だったので、だいたい10時頃が満潮だったと思う。8時頃、チョコチョコと電気ウキが動き出したが、なかなか消し込まないので餌をアオイソメに変更した。

すると、次の1投で見事にウキが消し込んだ! すかさずアワセると何か魚が釣れたようだ。ヘッドランプをつけてみると15センチほどのアジが5号のチヌ針をくわえていた。

その後、同サイズを1匹追加したが、ここでの獲物は2匹だけ。10時頃、まったく釣れる気配がなくなったので納竿した。エギ釣りも少しやってみたが、アタリなしである。まだちょっと Aoliman の季節には早いようだ。

なお、釣りをしている最中に、柵を乗り越えて突堤に行く人がいたが、やはり10時頃納竿して引き揚げていった。軽装備だったので、おそらくヘチ釣りだろう。クロダイのポイントは突堤の付け根から6番(真ん中あたり)ということだ。

柵の上部には釣り人が柵を切断した所があるので、大型クーラーを持っていなければ簡単に越えられたと思う。次回はこの柵を乗り越えて、突堤でエギ釣りをしてみるつもりだ。

その後 Tomy は3番のファミリー釣り場に戻って車中でグッスリ眠った。4時頃、「また釣れた!」という声がしたので起きてみると、ここでも夜はいい型のアジが釣れるらしい。

でも、コマセを使い切っていたので Tomy は投げ釣りの用意だ。20号のオモリで思いきり投げると、100メートルほどブッ飛んだ。キス、キス、メゴチ、アナハゼ。1匹ずつだが小物が釣れてくる。比較的遠くのポイントにキスがいて、手前まで引いてくるとアナハゼやメゴチになるようだった。

糸魚川での釣りはこれで終了だ。