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1999年8月14日
今回はノーパンしゃぶしゃぶに潜入した時のレポート・・・・・かと、みなさん期待したかもしれない。でも、そうじゃないんだ。会社の金ならいざ知らず、自腹切ってまで行けるわけないでしょ。せいぜい我々の財力じゃ回転寿司がいいところだよ。じゃあ、どうしてこんな題名になったのか?
それはだな、ちょっと話が長くなるけど我慢して聞いてもらおう。物語は8月13日の金曜日にさかのぼってはじまるのだ。
雨が絶え間なく降っていた・・・
霧雨のように弱い雨かと思えば、ときに強くフロントガラスをたたく大粒の雨になった。あたりはもう暗い。3人は薄暗い国道沿いに明るい場所を見つけ、照明に向かって蛾のように吸い寄せられていった。
『ん? フットサルか』
ゴルフ練習場の鳥カゴみたいだが、照明の下では10人ほどの若者が一心不乱にサッカーボールを追い回している。さすがに清水市はサッカーの町。平塚とはレベルが違うようだ。湘南ロケッツの本拠地・平塚にもベルマーレというオンボロチームがあるが、近隣市民の目は意外に冷たい。地元チームという意識がほとんどないのである。
中田やロペスがいたときはセ・リーグの2軍よりマシだったが、名前も知らない若手ばかりの現在はパ・リーグの2軍にも劣るだろう。地元開催のゲームも「タダなら見てやろうか」ぐらいの関心しかない。しかし、清水市は違う。雨にも負けずフットサルを楽しむ若者たち。しかも、熱心な観客付きなのだ。もし日本全体が清水市のようになれば、日本がワールドカップでベスト8に入る日も近いだろう。
「こりゃ、釣りどころじゃないな。雨がだいぶ強くなってきた。しばらくファミレスに逃げ込もう」
Tomy の提案で一行はファミレスを探しはじめた。しかし、運転手のさわむルアーはたぐいまれな方向音痴だ。町中をグルグル回ったが、なかなか目指すファミレスが見つからない。ようやく20分ほど探し回ってデニーズを発見した一行は、釣りの前に腹ごしらえをすることになった。今回のメインターゲットは三保の松原で大キス、そしてサブが片浜海岸のサーフトローリングだったのだが・・・どうせ、いつものことで釣果はたいしたことない。まずはデニーズでの会話から書きはじめよう。
「さわむルアーは、かなりの方向音痴だね」
「彼は会社の頭脳なんですけどね。ファジー理論とか、カオスの計算にかけては社内で右に出る者がいないんです」
そう言う Yos さんは湘南ロケッツの常連で、さわむルアーと同じ茅ケ崎市の住人である。今回 Yos さん達2人は、さわむルアーの情報を頼りに三保の松原に来る予定だった。そして、掲示板で Yos さん達が出掛けることを知った Tomy が強引に取材班を買って出たのである。
「キスは晴れていないとダメだよな」
「天気予報では、それほどひどい雨にはならないみたいでしたけど…」
「漁港でアジでも狙ったほうがいいんじゃないか?」
しばらくすると小降りになったので3人は出発することになった。ちょうどデニーズの目の前に釣具屋があったので、情報を聞きがてらエサを買いに行くと・・・
「今はイシモチがいいかね。ワカシも朝方は釣れるようになってきたよ。いつもの年より1ヶ月遅れだな。漁港はクロダイが絶好調!」
けっこう調子のいいオヤジだった。このオヤジにかかれば2、3匹でも爆釣!なのかもしれない。
「おいおい、何だよこの道はー・・・」
「この日のためのテラノですけどぉ〜、こりゃあまりにもひどいですね」
ロケッツを乗せたテラノはとんでもない悪路に迷い込んだ。まったくさわむルアーの方向音痴ときたら…、この時点で Tomy は『これは釣れそうもない』と予感した。
「ホントに釣れるのかね? ここは砂浜と言うより砂利採り場みたいだけど…」
「さわむルアーの情報を信じてたんですか?」
そう言えば、Yos さんとさわむルアーの釣行は悲惨なものが多い。八丈小島まで行ってオジサン1匹とか、銭州まで行ってボウズとか、ロクな釣果が報告されていない。案の定、ここで釣れたのは正真正銘の雑魚ばかりだった。誰にも名前がわかりゃしない。各自1匹、ご覧の雑魚を釣ったところで移動することになった。
次にロケッツが目指したのは清水港である。ロケッツが着いたフェリー乗り場には、すでに数人の釣り人が陣取っていた。
「何が釣れるんですか?」
「タチウオですよ」
「ほぅ、タチウオ」
そう言えば釣具屋でタチウオ用の仕掛けが目立っていた。桟橋の灯に誘われてタチウオが集まるのだろう。「ヒラメがどうした」とかいう話もあったが、釣れている雰囲気がまったくないので3人は違う堤防に移動することになった。
そして、投げ釣りをはじめた途端、ご覧のようなしらすアナゴの入れ食いモードだ。ハリがイシモチ用のでかいハリなので、たいていは空振りだが、たまにこんなのが仕掛けにまとわりついてくる。
その間に雨は小降りになるどころか、だんだん大粒になっていった。地元の釣り人は次々に帰っていく。小物じゃ釣っても仕方ないので、ロケッツは再びデニーズに舞い戻ることになった。
「Yos さん、また激辛いってみる?」
「Denny's の激辛キムチ丼はみんなに注意を呼びかけたほうがいいですね」
実はさっきまで、Yos さんは激辛のゲップに悩まされていたのだった。夕食の激辛キムチ丼は口に運ぶのが苦痛なほど辛かったらしい。Yos さんはキムチ丼を注文した女性を観察しながらサディスティックな薄笑みを浮かべていたほどだ。
「カツに豆板醤みたいなものがかかっていたよね」
「さっき、キムチ丼食べてる女の人を見たでしょ。むせるは、鼻汁は垂らすはで凄まじかったですよ。味なんかわからないもん、あれ!」
「また激辛ブームなのかね?」
「いやぁ、いま流行ってるのは My 唐辛子ですよ」
「My 唐辛子?」
「女の子がダイエットのためにハンドバッグに唐辛子の小瓶を入れてるんです。なんでも2回ぐらいで使い切っちゃうらしいですよ」
これは初耳だった。みんなは知っていたかもしれないが、Tomy は未だに見たことがない。確かに冷房の効いた Denny's で汗だくになっていた Yos さんを見れば、ダイエット効果がありそうだが、あんまり唐辛子をかけると痔になりかねないからオススメはできないな。
Denny's の激辛キムチ丼なら My 唐辛子は不要だと思うが、マズそうだから良い子の皆さんは興味本位で注文しないように。鼻汁と汗で多少は痩せるかもしれないけどね。
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