沿岸憩備隊

釣れないときこそ釣り日誌を書こう

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2000年10月2日

今回はイナダ釣りの話。と言っても、本命のイナダは釣れなかったので、双六で言うと“一回休み”になってしまった。まあ、一旦休憩をはさんで次の釣りに備えるってのも、たまにはいいんじゃないだろうか。

皆さんも他人がいい釣りばっかりしていると面白くないでしょ。本来、お笑い釣り日誌は「釣れないときに、いかに書くか」がテーマだから、釣れない釣りに敢えて挑戦することも必要なのである。

このあいだ読者からメールをもらったのだが、その人は【未確認 IDO 物体 UMO】の話に引き込まれて、長時間 ASHINOKO ONLINE を読みふけってしまったと書いてくれた。

UMO の話は実に凝っていたけど、釣果はゼロに等しかったんだよね。でも、それが他人から見ると面白いのである。いや、これだけじゃない。今までメールをくれた人の傾向を見ると、大釣りしたときの釣り日誌を読んでメールをくれた人はほとんどいないのだ。たいていは釣果ゼロか、珍しい魚を釣ったときだけメールが来るのである。

だから、インターネットで釣り日誌を公開している人は、釣れないときほど気合いを入れて書くべきだと思う。釣れないときは特に「美しい文体」にこだわるとか、「面白さ」にこだわるとか、「凝ったストーリー」を考えなきゃイカンっちゅうわけ。

ASHINOKO ONLINE を読んでいる人には、子供の絵日記みたいな文章を書いてほしくない。だって、そういうのを読みたくないから ASHINOKO ONLINE を読んでいるわけでしょ。「人の不幸は蜜の味」・・・この言葉をアタマに叩き込めば、自ずと釣り日誌の方向性は見えてくるはずだ。

前々回の話に出てきた Mac People という雑誌に【我が妻との闘争】という連載がある。作者はタバコ代コミ、月々2万円のお小遣いでホームページ作りに励んでいるらしい。非常に面白いので、ちょっと1行だけ引用させてもらおう。

「アンターッ!」(怪鳥音!)

もう、一事が万事この調子で、これを読むと元気になるから不思議である。

『ああ、なんて俺は幸せなんだろう!』

読むだけで“しあわせ”になれる文章なんて、そうザラにはない。だから、ついつい Mac Fan を買わずに Mac People を買ってしまうのだ。(GAKU さん、ゴメンよ)

読むだけで“しあわせ”になれる文章を書きたいなら、主人公は2タイプのうちから、ひとつを選択しなければならないだろう。ひとつ目のタイプはスーパースター。これは、読者がスーパースターに自分をダブらせることで一時の“しあわせ”を味わってもらおうというもの。

そしてもうひとつは、最下層の平民を描くという方法。こちらの方は、中流意識の高い日本人向きで、主人公に対する優越感を味わい、小さな“しあわせ”を大きな“しあわせ”に感じてもらおうという仕掛けだ。

で、Tomy にできることを考えてみると、スーパースターは当然無理。だから、後者を取るしかない。したがって、毎回読者を唸らせるような魚を釣ってはならないのである。

なんちゃってね。 (`⊥´)ゞ

そろそろ、イナダ釣りの話に進もう。

庄治郎丸の波平専務は「今年は空前のイナダ豊漁!」なんて騒いでいた。でも、最近の釣果を見ていると「空前どころか風前の」って感じである。もう、いつ乗合をやめようかと悩むぐらいイナダは少なくなってしまった。

理由は良くわからない。確かに8月まではモノスゴイ数のイナダがいたのでウソじゃなかった。ところが、例年なら秋になっても相模湾に留まるはずのイナダが、なぜか東京湾になだれ込んでしまったのだ。

これも地球温暖化の影響なのだろうか? 何しろ過去に例がないことが多すぎて、先が読めない。去年ほどカツオはいないが、そのかわり大物がいて、メジも多い今日この頃。こんな状況は誰も予想しなかっただろう。

「堺さん、今日はヨロシク」

堺船長は6月から9月一杯まで4ヶ月間シイラ釣りで沖に出ていたが、今日からイナダ釣りの当番である。

「今日は沖に出ないよ。もう〜、沖はたくさん!

「イナダ、釣れますかねぇ?」

「ジグじゃ無理だね。とにかく数がいねぇもん。ヒラメでも狙ってみな」

船は相模川河口を出ると西に向かった。大磯プリンス前を通って二宮沖を通過。空は厚い雲に覆われて、真鶴半島が見えない。いつもなら GPS に相模湾を縦横無尽に走り回る航跡が描かれるのだが・・・、今日は GPS が故障しているのかと思うほど、航跡が岸から離れることがなかった。

「小田原沖ですか?」

「いや、その手前の国府津沖だ」

国府津沖に着いて間もなく常連さんにイナダが掛かった。しかし、あとが続かない。釣れたのは Tomy の他に4人乗ったお客さんのうち、たったひとりだった。手つきを見ていると、やはりどこか違う。微妙な誘い、細いハリス、そしてオキアミと同サイズのウィリーで釣っているのだ。

『ジグで釣れるはずがない!』

案の定、Tomy にはアタリがなかった。ちょっと場所を変えると小ダイ、小イサキ、ソーダガツオなどが掛かったが、Tomy が釣ったのはサバフグ(銀フグ)のみ。

小ダイ

でも、フグと言っても引きはなかなかよろしい。9月の頭にも釣れたが、そのときよりだいぶ太って、かなり重量があった。食べて美味しいフグなのでキープしても良かったのだが、まだカツオを食べきっていないのでリリースだ。

『フグ料理屋をやれば一儲けだな』

専門で狙えば相当な数が釣れるだろう。身はカラアゲに最高、そしてキモが珍味ということで、サバフグは人気があるらしい。常連さんは「体が重くなってきたら食べるのをやめりゃいいんだ」なんて言ってたが、その前に体が冷たくなったりしないのだろうか?

まるで松島の観光船のようだ。パンも撒かないのにカモメが船を追いかけてくる。これは何でかというと、やつらはオキアミをあてにしているのだ。エサ釣りの人がオキアミを撒くと、そこにはたちまち鳥山ができた。

二宮沖のカモメは多分オキアミを主食にしているのだろう。ここには有名な梅沢堤防という釣り人専用の突堤があるし、嵐でなければ必ず釣り船がやって来る。オキアミはカモメにとって毎日食べられる安定食材というわけだ。


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