グランドスラム

相模湾の船アオリ

2002年2月3日

今日は大粒の雨の中、烏帽子岩の東側でしゃくることになった。はじめは30分ほど調子が出ず、『こんな日にボウズじゃ辛いよな』なんて、モノクロームで、色彩のない辻堂海岸を見つめながら考えていた。右舷ミヨシの僕にはアタリすらない。8時までは、正反対の左舷トモの人が小型アオリ2杯を釣っただけだった。

そのとき僕はマーブルトマトからオレンジの281を使いはじめたばかりだったのだが・・・

『ダメだ。やはりピンク系だ』と思い直し、ほんの数回しゃくっただけで281を諦めた。

そこで、ふと目が合ったのがアオリーQの GT2。コイツとはずいぶん長い付き合いだ。いつも使うのだが、不思議となくなることなく、僕のタックルボックスに根を下ろしている。もしかすると、釣れてるエギの中では最長老かもしれない。

『ヨシ、お前の出番が来たようだ』

そいつに換えて2投目だっただろうか。エギがなじんだ後、大きく鋭くしゃくった。8時10分、10秒ほど待って、もう一度大きくしゃく・・・ろうとしたら“グサッ!”という手応え。竿先を頭上まで持ち上げようとした。・・・が、持ち上がらない。ズウィーン、ズウィーンと2度ほど力強い引き込み。んっ・・・と耐える。「おっ! 結構でかそうだな」と、操舵室からヒカル船長が飛び出して、タモを構えてくれた。

「早くしてくれよー、大雨なんだからよぉー」

「コイツ、結構引くよ。デカそうだ」

「おっ! やったじゃん、いいアオリだ」

1.1kgのアオリイカだった。ドラグを逆転させるほどではなかったが、高知以来、久々の好感触。その後、調子づいた僕は、9時までにヤリイカ、マルイカをポンポンと上げた。

『あとはスミイカを釣ればグランドスラムだぜ!』

*テニスの4代大会を制することをグランドスラムと呼ぶ

しかし、天候はますます悪い方向に向かっていた。BOIL の防寒防水ジャケットは、軽い割に保温力がある。が、やや防水性能は弱い。風圧と大粒の雨が2時間ほどかけてジワジワとジャケットに染み込んできたようだ。

風が絶え間なく当たる左腕がやけに冷える。もう手が思うように動かない。そう、手先を肩でコントロールするような、ぎごちない動きになってきたのだ。肘や手首は思うように言うことを聞かず、すでにリモートコントロール状態だ。目はパワーショベルの操縦席にあり、肩の辺りが操作レバーという感覚。わっかるかなー? 本当の釣り好きなら、この感覚わかってくれるよな。

「ギー、ガシャ、ギーガシャ、ギーガシャ」と独り言でも言わない限り腕をコントロールできない。もう、あまり大きくしゃくるとロッドが手から滑り落ちそうになる。こうなったら小さいしゃくりに切り換えるしかないだろう。

“チョコッ 竿先をフワフワフワ うにゅ〜”

ビックリアワセで一瞬バレたかと思ったが、スミイカ君が上がってきた。何と、たった4杯でグランドスラム達成である。まるで4大大会の決勝だけ戦ったみたいに呆気なかった。(その後1杯マルイカを追加)

釣果

イカ4目達成でグランドスラム

まったく相模湾というところはワケがわからない。漁獲高は少ないくせに、魚種だけは豊富にいるのだ。リュウグウノツカイやら、太平洋側では珍しいタルイカ、夏にはマンタや巨大なジンベイザメまで姿を見せる。通りすがりの魚たちにとって、相模湾は峠の茶屋みたいな場所なのだろう。

たった4杯釣っただけでグランドスラムだもんなー。魚種だけは多いんだ、ココは。さあ、皆さんも挑戦してごらん。相模湾のグランドスラムに。