波高し

相模湾のシイラ釣り

2002年7月14日

南方から強い風が来て、雲がすじ状に飛び散りはじめた。どうやら今日一日、雨の心配はなさそうだ。

午前6時、僕らを乗せた庄治郎丸は、赤茶色の波に乗って、河口から吐き出されていった。バウが大きくせり上がり、ときおり“ザッパーン”と、波間に激しく打ちつけられた。

『なーに、少し沖に出れば、なんとかなるさ』

しぶきを浴びたが少しも気にならなかった。どうせ風がアッという間にシャツを乾かしてくれるのだ。

“カンカンカンカンカンカンカンカン・・・”

スパンカーのワイヤーが、マストをリズミカルに叩く。

しばらくすると浮き藻や木片が見つかり、キャスティングがはじまった。台風と黒潮に乗って、今なら湾内にたくさんのシイラが入っている。沖に出さえすれば、魚は必ず見つかるだろう。昨日は江ノ島の船がキメジの8キロ級を仕留めたらしい。

しかし、風と小刻みな波は沖へ出れば出るほど強まるばかりだった。真南に進路をとってスローで流すのが精一杯だ。斜めに走れないようでは、シイラ釣りどころではない。固定のウケがあれば話は別なのだが。

「堺さん、おはようございまーす、さようならー」

「ヒカルちゃん、おはよー、さようならー」

次々に他船から無線が入ってきた。

「おはよー、さようなら」

聞き慣れない挨拶だった。

7月14日、相模湾は天気晴朗なれど波高し。出船するも、1時間で引き返す。船中ヒット1、直後のバラシで釣果なし。お客さんは次回の乗船券をもらって、9時前に帰宅していった。