2002年8月31日
エボシ岩がうっすらと見えてきた。夏の終わりの夜明けは、ほんわりと暖かく、こころなしか、ゆったりと明けていくようである。
今、相模湾ではカツオ、キメジ、シイラなどが釣れ、イナダはいまいちという状況。しかし、イナダは朝の一時だけしか狙わないというので、今日は空いているイナダ船を選んだ。最初は相模川河口沖でライトジギング、そのあと沖でナブラを追う作戦だ。
船にはカッタクリの人が10人、ルアーマンはアタシともうひとりだった。しばらく水深35m付近でカッタクリとライトジギングをやってみるが、釣れたのはサバとアジだけ。イナダは高水温のため滅茶苦茶に渋い。カッタクリの人に1度だけ掛かったが、途中でバレてしまった。
Skill Jig(銀メッキ/ピンク、マーライト/ブルー)、Jerk Slider(シコイワシ、グリーン)。まず、この辺の“エサ”(通称)でいろいろ誘ってみるが全く反応なし。
ラインはエギング PE (高比重)の1号に抜き上げ用のリーダー5号をひとヒロ半。沈みも早く、アクションもつけやすいが、こうも渋くちゃどうにもならない。カッタクリの人がサバを上げたので、ジグを Sea Blade(チャート)に換え、フォーリングアクションを加えてやると2匹立て続けに釣れた。
後ろのルアーマンはどうしているかと振り返ると・・・、最初から最後までジャカジャカ巻きで押し通している。
『フォーリング・アクションを入れなきゃサバは食わねぇだろうな』
案の定、もうひとりのルアーマンはサバ1匹釣れなかった。カッタクリの人もサバとアジだけ。船長も嫌気が差したのか、まだ1時間もたたないうちに「早く沖に出よう」と言いはじめた。
7時20分、結局はイナダ船中ゼロのまま沖へ繰り出す。
しかし、沖の様子も相当渋かった。ナブラが湧いて「そら行くぞ!」と駆けつけたときには既に沈んでいる。追っても追っても追いつかず、そのうち鳥さえ見つからなくなった。
『えっ! トンボ?』
(`ё´)
水面で何かが飛び回っている。これは体長5cmほどの赤ちゃんトビウオだった。すごくかわいいので掬いたくなる。成長したトビウオは風に乗って100mぐらい飛ぶが、赤ちゃんトビウオの場合はせいぜい5mだった。
トビウオ観察にも飽きたので“グー、グー、グー”と寝る。エンジンが“ゴーッ”と唸りを上げると、ちょっと起きて様子を見る。なんとか追いついてナブラの中に2回だけルアーを入れることができた。
しかし、2度とも食わなかった。
こうもチャンスが少ないと、どうすることもできない。何度かジギングもしてみたが、「ハイやって!」と言われてからジグを投入しても遅かった。もう、11時半には完全にあきらめムードである。
「ターマ ちゃーん!」
気づくとタマちゃんを呼んでいた。そのせいか、タマちゃんは鶴見川から姿を消して海に下ったようだ。
「ターマ ちゃーん!」
アタシは相模川にタマちゃんを招致しようと、必死にテレパシーを送った。もう、釣りなんか頭の片隅にもない。
『タマちゃんが相模川に来れば・・・』
タマちゃんは小潮の日に海へ下り、大潮の日に川へ上ってくるらしい。ということは、9月6日あたりに次の遡上があるだろう。
『よし! 9月になったらサガちゃんだ』
アタシは船上で考えた。
『今までは見ているだけだったが、相模川に現れたら餌付けして居着きにさせよう』
そして、誰がなんと言おうと、「サガちゃん」に改名だ! 来たら、しばらくは「サガちゃんアイス」で儲けつつ、庄治郎丸の桟橋から毎日アジやサバを与えてサガちゃんが離れないようにする。そうすれば、秋には「サガちゃんおでん」、冬には「サガちゃんラーメン」が売れるだろう。

もちろんアタシはサガちゃんのホームページを作る。サガちゃんのいる平塚を大々的にPRして、庄治郎丸の一角でサガちゃんグッズを売らせてもらうのだ。サガちゃんTシャツ、サガちゃん絵はがき、サガちゃん DVD・・・。
そんなことを考えていたら、サバ2匹のまま平塚港に着いた。