漁魔が行く-06(野猿編)

大リーグエギ2号?

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1999年12月2日

脱線して時間を食ったが、辺りが暗くなるころ、ふたりは下之加江に到着した。さあ、これからいよいよ爆釣タイム?

下之加江(FLASH)

まず真ん中のボタンがある辺りに車を停める。次にボタンを押して写真を見てほしい。右の船着き場の先端に2人ほど釣れる場所があって、ここがぺこぺこさん推薦の最高ポイントだ。もしもここに人がいた場合は、写真左側の方へ歩いて行けば、そこにも明るい場所がある。

6時ジャストに釣り開始。最初は素早い土佐鶴釣法で中層を探ってみた。

「とさっ、づるっ、とさっ、づるっ、とさっ、づるっ」

リズミカルでスピーディーなロッドワークとリーリングを繰り返す。

「とさっ、づるっ、とさっ、づるっ、とさっ!

何と! 第1投でモイカの手ごたえ。“パシュー、プシッ、プシッ!”漁魔は電光石火の早業でスミを吹くアオリイカを堤防に放り上げた。釣り開始からおよそ1分後の出来事だ。

「こりゃぁー、爆釣だぜよ!」

「おかしいなぁ、僕にはきませんけど・・・」

「中層よ中層。中層を素早く攻めるよ」

「・・・・・」

しばらく時間が経過したが、その後はまったくアタリがなかった。第1投で釣れたのがウソのようだ。この日は長潮で、土佐清水市の干潮が夜の9時過ぎ。次第に潮が引いていき、Yos さんが根掛かりを連発したところで移動することになった。

2人はいよいよ土佐鶴釣法発祥の地、土佐清水へ向かう。(大げさな!)

あしずり港(FLASH)

あしずり港は前回来たときと何ら変わらなかった。前回も来ていた田中さん(イカ釣り名人)が相も変わらずエサ釣りをやっている。堤防から海面の距離は約7メートル。北西の風に乗って3.5号のエギは40メートルほど飛んだようだった。(2004年追記:この頃はまだ PE ラインなど使っていなかった。使っていたのは14ポンドぐらいのナイロンラインだった)

9時10分前の第1投。着水後約20秒でリーリングに移る。いつもより早い始動だ。そして第2投、今度は約40秒のカウントダウンで十分にエギを沈め、最初の「とさっ!」からはエギを着底させずに底から中層、表層までを素早く攻めた。

そして3投目、同じ方法でエギをはね上げた瞬間、今度はなかなかの手ごたえでイカが乗った。慎重に足元までイカを引き寄せ、ラインをつかみ、そろそろとたくし上げる。約400g、まずまずのサイズだった。

イカってやつは人間が思っているよりずっと素早い。泳ぎまわる魚をつかまえるのだから、それは当然のことかもしれないが・・・。とにかく奴等はエギを止めなくても乗ってくることは確かだ。いや、むしろ逃げ去る魚やエビをしつこく追い回しているのかもしれない。

しばらく時が流れた。

天気はいいが月は出ていない。獅子座流星群は終わったはずなのに・・・。下之加江からここまでで、既に3個も流星を見た。これが同じ日本の空なのか? そこには信じがたいほどの星があった。

ひしゃくの形が何で大熊座なのか・・・、ここに来てその謎が解けたような気がする。すごい、すごすぎる。あまりにも圧倒的な星の数。伊豆下田でも、それなりに星の数は見える。しかし、ここでは光の量が違って見えるのだ。水平線の近くでさえ。

ここで突然、漁魔にひとつのアイデアが閃いた。

『そうだ! 2本のロッドを使い、片方を投げてカウントダウンしている間に、もう片方をしゃくり上げてみよう。そうすれば釣果も2倍、2倍!』

漁魔は早速、思いつきを実行に移した。いつも使っている8フィートの他に、11フィートのシーバスロッドを出してリールを装着する。

9時25分。まず11フィートの方にきた! さっきのよりいくぶん大きく、約500g。続いてカウントダウンしていた8フィートの方を巻き上げた。

「とさっ、づるっ、とさっ、づるっ、とさっ!

まんまと作戦成功! いきなり大リーグエギ2号(二刀流釣法)の勝利である。

だが、こいつは足場の高さゆえ、イカを見失ったスキにジェット噴射で逃げられてしまった。うーん、それにしても・・・二刀流はイケルかもしれない。経験上、モイカの時合は長続きしないから、1分でも時間をおろそかにできないのだ。しかも、ピンクからエギを青に換えた途端にヒットすることだってある。二刀流によって生まれるメリットは計り知れない。

しかし、1時間後に大リーグエギ2号は欠点を露呈してしまった。それがその、疲れるんだよ、まったく。休みなく動いているから、倍以上疲れるのである。これはもう、自分の選手生命を削りながら投げる大リーグボール3号みたいなものだ。1時間半が限界だろう。一刀流なら8時間休みなしに投げ続けたこともあったが・・・

「うっ! 肘がぁー! 肩もだるいー!」

…と、その時。折からの西風でとぎれとぎれではあったが、堤防先端で Yos さんが何か言っているのが聞こえた。

「釣れたか?」

「釣れました。小さいけど」

「うわっ! コマイ! 150gもないやろ」

「幼児虐待ですね。竿の弾力で放り投げちゃいましたよ」

「でもまあ、1パイには違いない。イカボウズ脱出ぢゃ!」

10時半、ここで2日目の釣りが終了した。