漁魔が行く(キハダ編)

キハダ乱舞乱舞!

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2000年3月18日

大変長らくお待たせいたしました。初めてのフィッシング・シーンです。漁魔、ぎょぎょ丸、MK、ブリ男の4名は、信香丸に乗り込んで5時に手結港を出発! この日は凪で天気も最高でした。

沖のクロボクまで、1時間半かかります。それではここで、カツオとイワシの関係などを勉強しながら沖へ向かいましょう。以下は「目から鱗の落ちる話」;末広恭雄(柏書房)から得た知識です。

生きイワシの扱い

カツオ漁船が沖へ持っていく生きイワシは、波の静かな湾内のイケスで数日間、蓄養されてから船に積み込まれます。

なぜかと言うと、捕ったばかりのイワシをイケスに入れると、数時間から数日間、イワシが激しくぶつかりあって大量に死んでしまうのです。

一方、湾内のイケスに入れられたイワシは3日ほどでおとなしくなり、一定方向に回りはじめます。その間に死んだイワシを取り除き、生きの良いものだけを船に積み込むのです。一旦おとなしくなったイワシは船に積み込まれても一定方向へ回り続けるので、ぶつかり合わず、長持ちします。

カツオの縞

カツオを釣った経験がある人は知っていると思いますが、釣り上げたばかりのカツオには縞がありません。カツオの青黒い縞は死後に現われるのです。

しかし、生きているときには死後に現われる縞とは違う縞(横から見たときに垂直な縞)が2,3条現われることがあります。これはカツオが食欲を示しているときに現われる縞で、食欲縞と呼ばれています。狂ったように餌を追っているときに出るので、チャンスがあったらご覧ください。

餌付きの良し悪し

魚は胃のない魚と、胃がある魚に分けられます。コイ、フナ、サンマなどの胃がない魚の場合は、睡眠中か冬眠中でないかぎり、餌を食べ続けています。

一方、カツオ、マグロ、シイラなどは胃があるグループで、ある程度食いだめができます。すると、当然満腹感というものがあるわけで、そういうときに当たると、いくら生きイワシを投げても餌付きが悪くなります。

シイラ釣りに行くと「たくさんいるのに食わない」ということがあるでしょう。それは、ルアーにスレていることもあるでしょうが、大抵は満腹だからなのです。たまたま腹八分目のやつがいれば食いますが、入れ食いというわけにはいきません。

また、カツオやシイラの餌付きは、安心感によって良くなることがあります。たとえば木付き(流木などについている群)やサメ付き(大きなサメについている群)は大チャンスで、大抵釣ることができます。

魚にも嘔吐中枢がある

魚も食べ過ぎたり、目がまわったりすると胃の内容物を吐きます。つまり、人間と同じように嘔吐中枢があるのです。その証拠に催吐剤である塩酸アポモルフィンを皮下注射すると胃の内容物を吐くことが確かめられました。

ほら、向井千秋さんがスペースシャトルに乗ったとき、宇宙酔いの研究をするために日本のコイを乗せたじゃないですか。確か向井さんの弟は、ヒロ内藤という有名なBasserでしたよね。その人が日本のコイをアメリカへ持っていって、スペースシャトルに乗せるまでの間、飼っていたんですよ。(違ってたらごめんなさいね。そういう記事を読んだ覚えがあるんです)

シイラやカツオを釣り上げると、イワシをゲーゲー吐きますが、それも嘔吐中枢が刺激された結果なのです。

イワシの鱗

イワシの鱗は激しく動き回ると、はげ落ちます。これはなぜかと言うと、カツオなどに襲われたとき、敵の目を眩ませるためなのです。はげ落ちた鱗で敵の目をごまかし、その間に逃げ延びるんですよ。

なお、イワシの鱗ははげ落ちても1ヶ月ほどで再生します。

それでは黒潮牧場の模様を紙芝居風 Flash でご覧ください。

黒潮牧場にて(FLASH)

以上、ダイジェストでお送りしましたが、詳しいことは文章で書きましょう。まずは船上での会話です。

船長「今年はびんびがおるぜー。けんど、食うか食わんかは、おまんらぁの腕次第ぜよ!」

ぎょ「まかいちょき!」

船長「見せてもらおうじゃ〜ないか。へへへ・・・」

ぎょ「シイラはおるかね?」

船長「とうやくはまだおらんぜよー。去年はこの時分にどっさりおったけんどにゃー。今年はカツオがおって、とうやくがおらん。♪まいっちゃったのよ〜、ヤ・ヤ・ヤン・ヤン♪ どないしてくれるんじゃーい!」

漁魔「ぎょぎょ丸さん、ぴんぴって何? シイラのこと?」

ぎょ「いや、ぴんぴは、すべての魚のことです。ほんで、とうやくがシイラのこと」

漁魔「えーっ! そんなは初めて聞いたよ」 (`ё´)

ぎょ「とうやくという言葉を実際に言う人に会ったのは、ニーハオ船長が初めてでした。 あたしらあ、高知の街のぼんぼんは、もっぱら、くまびきと言いよりました」

「まあ、干物でくまびきいうががあることと、刺身でシイラいうががあることを知っちょたけんど、同じ魚とは数年前まで思いもせざった・・・」

「けど、信香丸で初めてとーやく釣って家に帰ったら“くまびきかね”と言われてちょっち混乱したもんよねー。くまびきないらげの親戚と思いよった」

漁魔「ないらげ?」

ぎょ「ああ、ないらげはカジキのことですわ」

船長「どういてとうやくに成ったかというと・・・」

「その昔、土佐の海じゃぁ、びんびがどっさりおったのよ。その、びんびを男衆が捕って来た。そのころは市場がないきに、おなごしがリヤカーで売りに行きよった」

「あんまりの多さに1匹ずつ売りよっちゃー、まちょくに合わん、ほんで10匹単位で売って行った。“10匹で100もん、10匹で100もん”はじめはそう言いよったけんど、長うてだれる」

「ちくと短うして“とうで100もん、とうで100もん”こう言いよった、けんどこれでも長うていかん」

「こんどら“とうひゃく、とうひゃく”とゆうた、それが何時の間にかとうひゃくがとうやくに成ったわけじゃー」

「これは、私のひ、ひ、ひ、ひじいさんが言いよった話を、ひ、ひじいさんが話してくれたがよ。むかしまっこう、さるまっこう!これ、本当!」

クロボクに着くまでは、みんなカツオ釣りのつもりでした。「まさか」キハダの大群に遭遇するとは夢にも思いませんでしたよ。この日見たキハダの群は小型でも10キロ、大きいのは20キロオーバー確実にありました。実際に釣れた19キロよりデカイのも何度か見えましたからね。

数は少なくとも数百匹、ひょっとすると千匹を越えていたかもしれません。ニーハオ船長でさえ「こんながは、初めてじゃ!」と言ってましたから、滅多にないチャンスだったと思います。

船長は引き縄をやりたい気持ちを抑えて、巨魚捕獲団にキャスティングのチャンスを与えてくれました。漁魔のタックルは PE 3号200メートルにショックリーダー30ポンドです。つまり、カツオ用ですね。前日までは2キロ未満のカツオしか釣れていなかったのです。

高速回遊魚ってのはこれだから恐ろしい。この日は、いい方の「まさか」に当たったわけですね。御厨人窟での祈りが効いたのでしょう。まるで、数百本の魚雷が同時に発射されたようでした。