長い旅の思い出

Wonder World AKITA

さて、Tomy が秋田に住むことになって、初めて海釣りの楽しさを知ったところまで話したんだよね。釣りバカの Tomy だけど、それまでは海釣りをほとんどやったことがなかったんだ。

なぜ Tomy があまり海釣りを経験したことがなかったかというと、それは Tomy の伯父さんがヤマメ釣りの名手だったからさ。Tomy は8歳の時から伯父さんに連れられて、ヤマメ釣りに行ったんだよ。

ヤマメ伯父さんの釣りはまさに名人級だった。軽やかに川原の石の上を跳んで行き、アッという間に Tomy 少年の視界から消えていく。必死に追いかけるんだけど、どんどん遅れてしまうんだ。

やっと追い付くと、伯父さんのビクにはヤマメがゴッソリ! Tomy 少年はグッタリ…。 いつもそんな感じだった。手取り足取り教えてもらったわけじゃないけど、必死にあとを追いかけているうちに少年は何となくヤマメ釣りの極意を身につけていったのだと思う。

伯父さんはむかし零戦に乗っていたから、目が良くて反射神経も抜群だった。毛針を打つ、石の陰からヤマメが出る、次の瞬間ヤマメは宙を舞う、そしてビクにすべりこむ、また毛針を打つ、ヤマメが出る…。今となっては夢のような光景だが、山梨県でもそんな光景が見られた時代を Tomy 少年は過ごすことができた。

ここ10年以内にフライを始めた諸君は、こんな光景を見たことがないはずだ。かわいそうに…。Tomy や野田知佑が環境庁長官だったら何とかできたかもしれないけど、今となってはもう遅い。

でも、秋田ならまだ少し自然が残されている。とても貴重な自然が…。Tomy はこの残り少ない自然を満喫するために秋田に来たのである。それは会社の仕事より何十倍も重要な事だったのだ。

わかるよね? この気持ち。

Tomy の仕事は外回りだったので、会社を一歩出れば自由だった。どこへ飛んで行くかはその日の風まかせ。道すがらきれいな川を見つけると、もう車を止めずにはいられない。目が星飛雄馬みたいにメラメラ燃えて、魚に対する闘志がこみあげてくる。Tomy は幼い頃からフライマン養成ギブスを体に巻かれていたのだろう。

それでも最初の1カ月ぐらいは真面目に仕事をしたんだ。あの頃は結構真面目だったからね。初めのうちは川を見てワクワクしているだけだった。

でも、彼は橋の上から見るライズリングの誘惑にはどうしても勝てなかった。7月頃からは仕事を適当にかたづけて、週に1、2回フライ・フィッシングをするようになっていたのである。彼の担当エリアは秋田市内と40kmほど南の大曲市だったのだが、よく河辺町という所で途中下車していたな。小さな町だから商売には関係ない所だったけどね。

話は変わるけど、秋田、大曲、横手を結ぶ国道13号線はホントに単調な道だ。信号なんかほとんどありゃしない。Tomy は足が疲れるからアクセルに石を乗っけてスピードを調節していたほどさ。(危ないから皆さんは真似しないようにね)

確か綱引き祭りで有名な刈和野という所に信号がひとつあるだけで、その信号につかまらなければ石をどけずに大曲まで行けたんだよ。いや、ホントに…。

ババベラアイスドライブインやコンビニも全然なかったんだ。あるのはババベラ・アイスだけ。ババベラ・アイスというのはだなぁ、ババァがヘラでシャーベット状のアイスをカップに盛ってくれるのでババベラ・アイスというんだよ。

なーんもない国道の脇に、パラソルとシャーベットが入った金属容器、それと折りたたみ椅子に腰掛けたおばさんがポツンといるだけなんだ。サビシイゾー!。

地元の人の話しによると、朝トラックが来ておばさん達を農家から連れて行き、国道にポツンポツンと配置していくらしい。おばさん達は夕方まで動けないんだぞ! だって周りになーんもないんだから。

あまりにもひどいと思わない? まったく都会人には考えつかない奇想天外な商売だ。皆さんも夏に秋田に行けば必ず見られるよ。秋田ってなかなかスゴイ所だろ。次の夏に1度行ってごらん。きっといい思い出になると思う。

まあ、このページを見ている人はかなりの釣りバカだろうから、もう少し詳しく釣りの話しを続けようかね。特に夏休みについて話しを続けよう。夏休みに秋田に行くと、どんなモノが釣れるかというと…。

まずはジャンボギス、そして川ではヤマメとアユ、秋田港の防波堤ではフッコやタコが夜釣りで釣れるんだ。24時間マラソン・フィッシングを楽しむこともできるんぞ。

特に夜のタコ釣りは面白い! ビニール製のカニに2本のギャフみたいなモノが付いているバケを使うんだけど、結構大きなタコがそのバケにしがみついてくるんだ。

防波堤の釣りこの釣りはやったことない人がほとんどだろう。ビックリするほど釣れるんだよ。一晩で80匹なんて人もいる。真っ暗闇の中で“バチンバチン”という音が響きわたるから、Tomy は最初ビックリしてしまった。

彼は秋田港にフッコを釣りに行ったんだけど、周りの人が何を釣っているのかわからなかったんだ。“バチンバチン”という音の正体はタコを防波堤に叩き付ける音だったんだよね。

そうしないとバケツに入れたタコが脱走してしまうんだ。

(`⊥´!

朝になると防波堤はスミで真っ黒になるほどさ。すごーい 。

それから、バス釣りが好きな人も大丈夫だよ。八郎潟の運河でバスが釣れるらしい。Tomy はそれどころじゃなかったけど、バスマンの人は行ってみるといいだろう。きっとあまりスレていないと思う。芦ノ湖あたりとは釣り人の数が違うからね。

また、子供連れの人もいいかもしれない。男鹿の海水浴場は砂浜がきれいで最高だ。サザエが安いからタンマリ食べられるよ。夜は夜で、大曲の花火大会を見に行けばいい。秋田には花火屋が多いんだ。ものすごくきれいだぞー!


次ページではマタギの里を紹介しよう。

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