ミンミンゼミ事件

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第六幕 午前2時

さぶいよー

さぶいよー

さぶいよー

さぶいよー

地の底から突き上げてくるような恐ろしげなうめき声。Tomy は真夜中に深い眠りから目覚めた。部屋は真っ暗である。Tomy は1階、12畳の隅で寝ていたのだが、もう一方の隅で人がうなっているようだ。部屋の中は凍るように冷たかった。

『いったい何が起こったのだろう?』

Tomy は寝ぼけていたので蛍光灯のスイッチを見つけることができない。仕方なく彼は手探りでふすまを開け、台所の方へ這い出していった。すると流しの上に小さな蛍光灯が点灯されていて、そこだけがポッと明るくなっている。Tomy はヨロヨロと流しの方に歩いていった。

『あぁ、ノドが渇いた。まずは水を一杯飲もう』













流しには雑然とコップや皿などが積み上げられている他に、誰かが嘔吐した痕跡が残っていた。

『何だよ汚ねぇなー』

Tomy は使えそうなコップを探して水を一杯ゴクリと飲み干すと、コップに再び水を汲んで嘔吐の痕跡を洗い流した。

『誰だよ、まったく…』

Tomy はそう思いながら今度はトイレの方に歩いていった。台所は風こそないものの凍るような冷たさだった。














トイレの引き戸が開けっぱなしになっている。どうやらここから冷気が入っているらしい。彼は手探りでトイレの灯を点けた…。














『ま・ま・窓がない』

何とトイレの窓は開けっぱなしになっているのではなく、窓枠ごと消え失せていたのだ!

『いったい何が・・・』

Tomy はこの謎を解くためにトイレの窓から外を見ることにした。すると地面に窓枠が転がり、ガラスが粉々に砕け散っているではないか…。

謎が謎を呼んだ

『そう言えばおかみさんが水道が凍るから水をチョロチョロ出しっぱなしにしておいてと言っていたな』

Tomy はおかみさんの言ったことを急に思いだして便器を覗き込んだ。幸いにも男用の便器は水がチョロチョロ出しっぱなしになっていたので凍結を免れている。

しかし、次の瞬間 Tomy はガク然とした。ウォシュレットに張られた水がカチンコチンに凍っていたのである。それは薄氷なんて生易しいもんじゃない。ワカサギの穴釣りができるほど分厚い氷だった。

Oh , My God !

こんなことをしたら2度と寒川屋さんに泊めてもらえなくなるではないか。Tomy は犯人を叱りつけようと思い、台所の灯を頼りに1階の部屋の蛍光灯を点けた…。


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