2/9:最初のページ
安代で高速を降りたのは、安比川(あっぴがわ)で釣りをするためだった。安比高原スキー場は全国的に有名だが、安比川もかつてはヤマメ釣り場として渓流ファンの間で有名な川だった。今では釣りファンが増え過ぎて釣りにくくなっているが、10年前はかなりいい釣り場だったのだ。
最初にこの川を選んだのは、釣り場が高速のインターに近いからである。もし釣れなくても、すぐに高速に乗り直せるというのが第1の理由。第2の理由は、川幅が広く、両岸に別れて4人を見渡せる場所で釣れるということだった。Tomy 以外はまったくの初心者だから、全員を見ながら色々教えなければならない。それでは・・・
以上のような伝統のワザを Tomy は伝授したのである。すると、N男ちゃんは川虫獲りが楽しいらしく、子供のようにはしゃぎまわり、なさけ容赦のない川虫ハンターに成り下がった。とりあえず、50匹ぐらい獲れば十分なのに、意地になってそこら中の石をひっペがしまくるN男ちゃん。「見てみぃー! この石ぃ! 川虫ウジャウジャよーん」などと言って狂喜しはじめたのだ。
N男ちゃんは、まるで“水を得た魚”。いつも眠そうな顔をしているN男ちゃんが、目をランランと輝かせ、太陽をいっぱいに浴び、額に汗して働いている。おぉ! これぞまさしく彼の天職なのかもしれない。川虫ハンターN男ちゃんは、釣りもせず、ただひたすら他の隊員のためにエサ獲りに専念した。

Tomy は川虫をハリに通し、αズーム刀渓を一閃した。そして、瞬く間に沈み石の脇から20センチほどのヤマメを抜き上げて見せた。さらに、続く落ち込みの深場からは尺オーバーの良型ニジマス。Tomy 隊長、カイシンの一撃である。
それを見ていたピカルも、瀬尻でコッパヤマメを2匹立て続けに掛け、カツオの1本釣りの要領で後ろの土手までヤマメをすっ飛ばした。N男ちゃんが大きな川虫をドンドン補給してくれるので、みんな絶好調だ。やはり川虫にまさるエサはない。トコロも25センチぐらいのイワナを釣って大威張り。
「N男ちゃん、これがイワナだっちよ。N男ちゃんも釣らニャー!」
まったくトコロは調子がいいヤツだ。自分だってなかなか釣れなかったくせに、1匹釣れたら鬼の首でも取ったかのように威張りくさっている。N男ちゃんも慌てて竿を出したが、ここでは釣れなかった。