Gussulin

ネコジャラシ川

4/9:最初のページ

現在、東北自動車道の終点は青森だが、この物語の頃は弘前が終点だった。一行は弘前から青森に向かい、市内で何かうまいものを食べようということになった。これから山奥に入ってしまうので、その前に少しは贅沢しようというワケだ。

青森と言えば、そう! イカとホタテがうまいよね。4人はひとり3,000円ほど出してイカやホタテを腹一杯食べた。本当なら青森市内で1泊して次の日になるところだろう。しかし、まだまだこの日の話は終わらない。

なぜなら、この旅はサバイバル合宿なのだ。泊まる場所は川原、宿舎はテントと決まっている。もう外は真っ暗だが、これからキャンプ地を探さなければならない。今ではキャンプをしたことがない人なんて少ないだろう。しかし、ひとむかし前はキャンプをする人がとても少なかった。Tomy 以外の3人はキャンプをした経験がないから、行き先は Tomy の言いなりだ。

「三厩まで行くぞ!」

「みんまやー?」

「どの辺だっち?」

「竜飛岬の近くだよ」

というわけで、一行は22時近くになって、ようやく Tomy が過去にキャンプしたことがある“ネコジャラシ川”(仮名)に到着したのだった。Tomy は車のヘッドランプを頼りに素早く montbell のムーンライトテントを組み立て、到着から約15分で就寝。いよいよ明日からがサバイバルの本番だ。

モンベル(montbell)ムーンライトテント 3型

montbell ムーンライトテント 3型

翌朝、当然ながら早朝は釣りである。N男ちゃんとピカルは眠そうなのでお留守番。2人にはカマド作りをしておくように指示を出し、Tomy は子分のトコロを従えて、やや下流のポイントへ向かった。エサはいたる所にイタドリが生えているので、イタドリの虫を捕ることにした。これがまた、釣れるんだよ!

テントから200メートルほどしか離れていない場所だが、ここからテントまで釣り上がれば十分だ。約30分で Tomy が7匹、トコロが2匹を釣り上げ、2人は意気揚々とキャンプへ。

「兄ちゃん達ぃー、釣れたのかよ?」

N男ちゃんは『こんな短い時間で釣れるワケがない』とでも思ったのか、へらへら笑いながら人をバカにしたように言った。Tomy は笑いをかみ殺して「たいして釣れねぇよ」とそっけなく答え、やや間を置いてトコロが登場!

失敬な! N男ちゃん、これがヤマメだっちよ!」

トコロはヤマメ9匹入りのビクをN男ちゃんの前にドサッと放り投げ、得意満面に言い放った。

「す・すんげー!」

N男ちゃんの目は、驚きのあまり真ん丸に…。

「なんだよ。まだカマドもできてねーじゃねぇー。 働かざる者食うベカラズよ! N男ちゃん」

「まあまあ、いいじゃないか。 食わしてやるから薪でも集めろよN男ちゃん」

そう言うと、Tomy はカマドを完成させ、たき火の準備をはじめた。

「トコロ、メシとげー!」

「おい!ピカル。イタドリを集めろ」

「イタドリってなーに?」

「そこにいっぱい生えてるやつだよ」

次々に隊長の指示が飛び、いよいよ朝食の用意だ。N男ちゃんも食いっぱぐれないように、せっせと薪を集めはじめた。まずは小枝を集め、徐々に大きな丸太を集めていく。彼はだんだんヤブの奥まで薪を探しに行き、しばらく見えなくなったと思ったら、線路の枕木みたいな角材を重そうに持って来た。

『そ・それは!』

Tomy はその枕木みたいな角材に見覚えがあった。

「N男ちゃん、その木、便所の足場に使ってた木だよ」

「ぎょえぇー!」

そ・それは!

N男ちゃんの手から角材が滑り落ちた。実は2年ほど前にも Tomy はこの川でキャンプをしていたのである。