Gussulin

タイム・スリップ!

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アッと言う間に1日が過ぎ去った。4人は今、岩手県の三陸地方にいる。青森が豪雨でダメになり、急きょ避難してきたのだ。ここは猫目石川の上流で、Tomy が学生時代に見つけたイワナの宝庫だった。ここが雑誌に紹介されないのは、雑誌記者さえも絶対に言いたくない場所だからであろう。それほど素晴しい渓流なのだ。

ここならヘタッピィーにもイワナが釣れるに違いない。とうとう来るところまで来たという感じだ。キャンプ地もサイコー。今度はテントが水没する危険もない。Tomy はN男ちゃんにイワナを釣らせるために、ここでは付きっきりでコーチングをした。

そしてN男ちゃんついにフィッシュオン! 長い道のりであった。イワナ1匹釣らせるために何と1,000キロも走ったのだ。Tomy もルアーで大物を1匹釣り、意気揚々とキャンプに引き揚げた。

Tomy 達が上流に行っている間、トコロとピカルも下流で釣りをしていた。でも、2人の釣果はゼロ、なぜかと言うとピカルが溺れかけたからである。彼は深い渕で大きなイワナを見つけ、ポイントに近づくために滑りやすい石に乗っかった。 目撃者のトコロに言わせると…

「まるでマウンテン・スプラッシュだっち!」

ピカルはバーゲン品の安い胴長をはいていたので、胴長に水が流れ込んで身動きできなくなってしまった。命からがら這い上がったが、雪解け水で寒中水泳じゃ、釣りどころじゃない。Tomy 達が帰ってみると、ピカルは震えながら今にも消えそうな焚き火にあたっていた。

まったくドジな奴等だ。目を離すとロクなことがない。コイツ等にたき火をやらせると紙だけ燃えてすぐに消えてしまう。Tomy は大慌てで薪を集め、たき火を盛大に燃え上がらせた。ピカルが脱いだ服からモワーッと湯気が立ち昇る。

そして、食事の用意。大きいイワナだったので3枚に下ろし、醤油、酒、砂糖を使って照焼きにした。みそ汁にはサバの水煮とタマネギをブチ込んで、Tomy 風サバ汁(サバいばる汁)の出来上がり。ホイルにくるんで、たき火に入れておいたジャガイモもそろそろ食べ頃だろう。

「うまいんだな、コレが!」

「男の味だね!」

山の中で食べると、こんなものでも御馳走になる。家では作ったことがないが、サバいばる汁は今度試しに作ってみるといいかも。少なくともキャンプでは美味しいと感じるだろう。(ちょっとネコご飯みたいなにおいがする)

ここでターイム・スリップ!

もうキャンプ6日目である。日付は5月4日。そろそろ遊び疲れてきた。魚は十分釣ったので、今日は陸中海岸の観光に出掛ける計画だ。まずは宮古の駅前でお寿司を食べ、海岸沿いをドライブ。そして一行は観光の目玉、龍泉洞へ。

暑い日だったので、中はヒンヤリして気持ちが良かった。地底湖は澄みきって、投げ入れられた小銭がよく見える。深さは10メートル以上あっただろう。1円玉を落としてみたが、なかなか底に着かなかった。

龍泉洞の出口ではペットボトル入りの地底湖の水が1人に1本ずつプレゼントされた。多分その頃、お土産として売り出されたばかりだったのだろう。まだ日本産のミネラルウォーターは“六甲のおいしい水”ぐらいしかなかった頃なので、今は大きな産業になっているかもしれない。

「龍泉洞の水」2L×6

龍泉洞の水

「龍泉洞の水かぁー、いい考えがあるっち」

トコロが何か思いついたようだ。トコロはイタズラが大好きなので悪だくみに違いない。トコロはN男ちゃんのペットボトルを開け、中身をガブ飲みすると Tomy やピカルにもボトルをまわして中身を素早く空にした。

「トイレの水に入れ替えるっち!」

トコロはそう言うと、トイレに行ってペットボトルを再び満タンにして帰ってきた。これをN男ちゃんに飲ませて楽しもうというわけだ。ヒドイ男である。

地底湖の水

車の中でN男ちゃんに“龍泉洞の水”を飲むように勧めると、N男ちゃんは「家に帰ってから水割りを作って飲むんだよ」と言って飲もうとしなかった。ちょっとあてが外れたが、まあいいや。3人は田老という漁港に着くと、新たなイジメプランを練りはじめた。

田老には恐ろしく高い防潮堤がそびえ立っている。ここは昔、地震による津波で大きな被害を受けたらしい。リアス式海岸の奥にある漁港なので、津波が増幅されてとんでもない高さになったのだ。最近では奥尻島を襲った大津波が記憶に新しいが、田老を襲った津波も相当な高さだったのだろう。

ここでは漁港で網の修理をしている漁師さんに Tomy が話しかけ、いろんなことを教えてもらった。そしたら、「明日の晩、ここで花火大会があるから是非来るように」と、その漁師さんは言ってくれた。無料で地酒が配られると言うから行かない手はない。

しかし、N男ちゃんだけは花火大会に来ることができなかった。彼の会社が5月6日に新薬の発売を控えていたのである。Tomy 達は東北自動車道の渋滞を避けるために5月6日も休みを取っていたが、N男ちゃんだけは、みんなより1日早く帰らなければならなかったのだ。

そこで Tomy は物凄いイタズラを考え出した。N男ちゃんを罠にはめるのである。Tomy はピカルとトコロを呼び寄せ、イタズラのプランをヒソヒソと耳打ちして田老漁港を後にした。