岩手へ

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1997年6月20日

Tomy はかれこれ15年ほどスバルの車を乗り継ぐスバリストである。今はレガシー・セダンに乗っているが、この話の頃はレオーネ・ツーリングワゴンに乗っていた。

ツーリングワゴンは広いラゲージ・スペースがあってキャンプの時は本当に便利。でも4人分の荷物と釣り具、テントなどを押し込むと、さすがにギュウギュウ詰めは免れない。そこで Tomy は出発前に「少しでも荷物を少なくするように」とメンバーに通達しておいた。

しかし、N男ちゃんの下宿に行ってみると、彼の荷物の中にはとんでもなく邪魔なモノが含まれていた。それは緑色をしていて、80センチ四方ほどの正方形だった。何だかわかるかな? まぁ、いいや。とりあえず話を進めよう。

メンバーは全部で4人だった。N男ちゃんの他にはピカル、そして【ミンミンゼミ事件】の時も活躍したトコロ。トコロの説明はもう書いたが、【ミンミンゼミ事件】を読んでいない人のために、ちょっとだけ説明しよう。

彼は Tomy の子分で顔は所ジョージに似ている。トコロ弁という独特な言葉を話すので、文中でもトコロのセリフだけは簡単に判別できるはずだ。例えば、「たまごっちが欲しいなあ。バンダイのヤツ、出し惜しみしやがって」をトコロ弁で言うと、「たまごっちが欲しいっち。バンダイのヤツ、出し惜しみ、ユルサズ!」となるのである。

とにかく「○○だっち」とか、「ユルサン!」という言葉を多用するので覚えておいてほしい。

ピカール君次はピカルだ。彼はイラストのように、きれいな卵型の顔をしている。その頃は身長172センチで体重が48キロというエンピツのような体形をしていたのだが、最近はお腹だけポッコリ出て非常にみっともない。その上、ピカルのあだ名通り、年々生え際がバックしていき、今じゃかなり危なっかしくなってきた。

“ピーピー、ピーピー、ピーピー”

バスガイドさんを思い浮かべてほしい。とっくの昔にガイドさんは“ピーイッ!”と長い笛を吹いているのに運転手は、まだバックをやめない。バスの後輪は崖ギリギリ、あと1センチで千尋の谷底が待っているというのに・・・

さて、登場人物の紹介はこの辺にしておこう。今回はN男ちゃんが主役だ。N男ちゃんについては、あとでたっぷり書くことにする。今回の旅はアウトドアが苦手な3人に、何とかヤマメかイワナを釣らせようという作戦だ。4人はまず、東北自動車道の安代(あしろ)で高速を降りた。Tomy 以外の3人は、渓流釣りもキャンプもまったくの未経験。使えないオボッチャマたちである。果たしてうまくいくのだろうか? 釣りのセンスがありそうなやつは一人もいなかった。

Tomy は大学時代、東北や北海道を釣り歩いていたから、川筋でのキャンプはお手のもの。小雨がぱらつく中でも、タバコのパッケージ1個を火種に盛大な焚き火を起こすことだってできる。だから、この時 Tomy は隊長をつとめた。そして、隊長の命令は絶対のはずだった。しかし、二等兵のクセしてN男ちゃんは隊長の命令を無視し、マージャンのマットなんて邪魔なモノを車に積んだのだ。

のちにこれが大変な事件を引き起こすとも知らずに…