Hokkaido 1980

キャンプ

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滝つぼでは餌釣りのオジサンが竿を出していた。どうやら餌釣りの人にとってはここが終点らしい。左側に知西別湖から落ちてくる大滝があり、右には羅臼湖へ続く本流が流れている。

しかし、羅臼湖への道をたどるには滝つぼを泳いで対岸に渡る必要があった。対岸に渡ったらすぐに直角カーブだ。渡らずに屈曲部を超えるのは不可能に見えた。

滝下の状況

「俺、シャワークライムやりたい」

「・・・・・・・?」

山岳部の井出は滝の直登をしたいと言い出した。だが、底の柔らかい渓流足袋では無理である。つま先で岩のわずかな出っ張りを足掛かりにできる登山靴が必要なのだ。

「この落差だと相当時間かかるね。今日は無理だ」

「明日は登山靴を持ってくるよ」

我々は滝つぼで釣りをするのを諦めて川を下りはじめた。ところどころで竿を出し、オショロコマを20匹ほどキープしただろうか? 余ったらスモークにするつもりだった。

薫製屋さん

この写真はワゴン車の中でオショロコマの薫製を干しているところ

ところで、山岳部の井出がなぜ参加することになったかというと、彼はタダ単に山登りがしたかったのだ。釣りにはあまり興味を示さず、とにかく高いところに登りたがっていた。

トヨタ・レンタリースはこのあと匂い消しにかなり苦労しただろう。まったく迷惑な話である。外に出しておくとクマを呼んでしまうので仕方ないのだが、自分の車なら絶対しないと思うよ。

ところでみなさん、薫製の作り方は知っているかな? 知っているかもしれないが一応書いておこう。ここで紹介するやり方はとても手軽なやり方だ。

燻製作りの用意

簡単な燻製の作り方

えーい! ついでじゃ。ルイベのことも書いてしまえ。ルイベはアイヌ語で“サケを凍らせて食べる”という意味らしい。サケは冷蔵庫で凍らせるとシャーベットみたいになってしまうが、本物のルイベはそんなんじゃないんだ。北海道なら軒先に吊るしておくだけで自然にできるのさ。

昼間は氷が溶けて、夜にまた凍る。その繰り返しで次第に水分が抜け落ちていくんだな。そうすると冷蔵庫で作ったルイベとは全く違うものができるんだ。アイヌはルイベを吊るしたまま切り取って、そのままかちょっと表面を焼いて食べるらしい。大昔、アイヌの食べ物には塩漬けとか、味噌、醤油がなかったのだ。塩は食べるときに調味料として使うか薫製に使っていたんだよ。

さて、キャンプに話を戻そう。その晩は確か宴会をしながら薫製作りをやっていたと思う。多分金曜か土曜だったのだろう。他に2組があとからやって来て、同じ場所にテントを張った。単独の人と2人組だった。

まあ、本州と違って魚はたくさんいるから先行者がいてもそれほど気にならない。餌釣り師が通ったあとでも毛針ならなんとかなったのだ。お互いを気にとめることもなく、宴会は長々と続いた。

薫煙の匂いが食欲を刺激する。ふと気付くと、ネズミも足元で残飯を食べていた。両手で大事そうに食べ物をつかんでいたのを思い出す。やがて酒瓶がカラになり、快い酔いと疲れで一行は倒れ込むようにテントで床についた。

たき火の火が消え、残るのは立ち上る薫煙だけだった。さあ、いよいよ明日は知西別湖にアタックだ!

果たして何が待ち受けているのだろう。