Hokkaido 1980

再び北海道へ

10/11(INDEX

うまくオチがついたところで終らせたいが、実は翌年も北海道に行ったのだ。知西別にも再度行ったので、その時のことも書いておこう。

1981年はアンコウと2人だけの挑戦になった。アンコウが買った中古カローラをフェリーに乗せ、2人は30時間の船旅で釧路を目指した。

しかし、船旅は台風の接近で地獄だった。立っていられないほどの大揺れで本も読めない。2等船室は船底に近いから、スタビライザーのドカンドカンというスゴイ音がするのだ。たまったもんじゃないよ。

釧路に着いた時はもうフラフラ。バイクツーリングの人達は特に気の毒だった。平衡感覚はマヒマヒ。おまけに北海道まで台風が追っかけてきたのだ。もう2度とこのフェリーには乗るまいと決心したね。

さて、北海道上陸後、最初に2人が狙っていたのは釧路に程近い阿寒川だった。未確認情報ながら、ここにはスティールヘッドがいるという話を聞いていたのだ。

阿寒湖のハヤ

だが、台風の影響で川での釣りは断念せざるを得なかった。2人は急流と化した阿寒川を横目で見ながら阿寒湖へ。そして何か釣れないだろうかと湖岸を歩きながらルアーをキャストしていた。

すると、斜面でゴソゴソという音がして、何やら見慣れない小動物が出てきた。あとで知ったのだが、これは野生のミンクだったらしい。ミンクは養殖場から逃げ出して阿寒湖周辺で野生化しているのだ。黒くてピカピカしているから誰にでもすぐわかるだろう。

2時間ほど何も釣れないうちに夕方になった。それまで魚の気配はほとんどなかったが、急に湖面がざわめき始める。良く見るとワカサギが水面をピョンピョン跳ねて何か大きな魚に追われているようだった。

「スティールヘッドかもしれない」

いきなり気合入りまくりのアタシは、ダイワのポリエステルグラスに ABUMATIC 170 というタックルでワカサギ・ナブラを直撃だ!

「ヒット!」

魚はグングン引いた。強い強い。だが、上げてみるとスティールヘッドなんてとんでもない話。太っちょのハヤだったのである。写真は黒っぽかったので、わざとモノクロにしたけどわかるかな? まるでバスみたいなハヤだったよ。

そうそう、阿寒湖の近くにはペンケトーがある。そこにも魚がいるから、これを読んだ皆さんは行ってみるといいだろう。しかし、午後行くのはまずい。暗くなって道を見失うと熊笹の生茂る道なき道を帰ってこなきゃならない。今はちゃんとした道があるかもしれないが、当時は小さな沢伝いに降りなければならなかった。水はとてもきれいで、湖水をそのまま飲めるほどだったね。

何しろ遠い昔なんで記憶が定かでない。どういう順番で行ったのかは忘れてしまった。それではまず、この旅で行った川を列挙してみよう。当幌川、渚骨川、忠類川、知来別川、そして2度目の標津川と知西別川。

まず当幌川は牧場の合間を縫って流れる川だが、川の上に木が張りだしていて、とても釣りにくかったのを覚えている。蚊もたくさんいて、あまりの釣りにくさにすぐ諦めてしまった。

それから忠類だが、このあいだテレビで見た忠類川とはまったく趣が違っていた。おそらく我々が行ったのは上流の方だったのだろう。川底が1枚の岩盤になっている所があったような気がする。釣果はどうだったかというと、標津川ほど昆虫が多くないので、それほど釣れなかった。

渚骨川もかなりタフな川だった。イトウがいるというので行ったのだが、ここもキャンプすることなくすぐに諦めてしまった。林道が極悪路だったのだ。ナンバープレートが外れてしまうほどの極悪路。ちぎれ飛んだナンバープレートを探しに行ったことだけを覚えている。

しかしね、この旅行で一番閉口したのはアンコウが買ってきた大滝詠一のカセットテープをテープが擦り切れるほど聞かされたことだったんだよ。

♪おーもいでー は モーノー クローム♪

♪いーろを つーけーて くぅれぇー♪

この曲は今でもたまに耳にするけど、これを聞くと北海道の景色を思い出す。今までこの曲以上に連続で聞かされた曲はないな。しまいにはヒドイ曲だと思うようになった。(いい曲なんだけどね)

そして、この旅のハイライトは何と言っても知来別と知西別だろう。知来別については既に写真をお見せしたが、実はカラフトマス入れ食いという信じられないような場面に遭遇することができたのだ。

知来別にて

細い川だが、河口のネットをくぐれるカラフトマスは上ってこられるのだ。ちょうど60センチまでのカラフトマスはネットをかいくぐれるようだった。最初はイトウだと思って狂喜したけど正体はカラフトマスだったというわけ。

川に上ってくるカラフトマスは美味しくない。でも、貧乏学生にとってはそれでも貴重な食料だった。塩漬けにして毎日食べたよ。筋子はやはり塩漬けにしてご飯のオカズにした。

さて、たくさん釣れたのはいいけど、どうやって持っていこう? 帰り際になって『密猟者』という言葉が頭に浮かんできたのだ。カラフトマスもサケの1種だからね。

そこで、暗くなるまでは物陰に潜んでいた。写真でわかる通り、この川は広い牧場の中を流れている。だから周囲から丸見えなのだ。我々は暗くなるのを待って泥だらけになりながら牧場の溝を伝って車に戻った。今考えると、そんな苦労をしなくても良かったような気がするけど。